京アニ事件裁判 弁護側請求精神鑑定医“妄想は犯行動機形成”

「京都アニメーション」の放火殺人事件の裁判は、26日も青葉真司被告の責任能力の審理が行われ、弁護側の請求で被告の精神鑑定を行った医師が、「重度の妄想性障害で妄想は犯行の動機を形成している」とする鑑定結果を明らかにしました。

青葉真司被告(45)は、4年前の2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオでガソリンをまいて火をつけ、社員36人を死亡させ、32人に重軽傷を負わせたとして殺人や放火などの罪に問われています。
被告の弁護士は「精神障害により、よいことと悪いことを区別して犯行をとどまる責任能力はなかった」などとして無罪を主張しています。
京都地方裁判所で開かれた26日の裁判では、前回に続いて刑事責任能力についての審理が行われ、起訴後に弁護側の請求で被告の精神鑑定を行った医師の証人尋問が行われました。
このなかで医師は、「被告は犯行時から現在にかけて重度の妄想性障害にかかっていて、妄想は犯行の動機を形成している」とする鑑定結果を明らかにしました。
医師は、妄想性障害は妄想を伴う精神病だとし、「応募した小説が落選したという現実を、すぐれた作品なのに『闇の組織』などに故意に落選させられ、アイデアを盗用されたと妄想していた」と述べました。
そのうえで、▼妄想が影響して人を信用できず孤立し困窮したことが犯行につながり、▼妄想の世界で被害を受けていることが影響し怒りやすく、攻撃的な行動に出やすくなっていたなどと説明しました。
前回の裁判では、起訴前に検察の依頼で鑑定を行った医師が「被告は妄想性パーソナリティー障害で犯行の対象に京アニを選んだ点は被害妄想が影響を及ぼしたが、それ以外の犯行時の行動には影響はほとんどみられない」とする鑑定結果を明らかにしていました。
今月30日に行われる次回の裁判では、2人の医師が同時に出廷し、証人尋問が行われる予定です。