関東や東海に地盤のスーパー 関西への進出相次ぐ

関西には、このところ、関東や東海に地盤があり、割安を売りにしたスーパーの進出が相次いでいます。
人口減少が続き、コロナ禍による需要の増加も一服する中、スーパー各社は、首都圏に次いで人口が多い関西エリアで規模を拡大し成長を図ろうという戦略で、今後、競争が激しくなることが予想されます。

このうち、岐阜県に本社があり、東海地方を中心に店舗を展開してきた「バローホールディングス」は、今月(10月)13日、大阪・堺市に新店舗をオープンしました。
この会社が掲げるのは、「EDLP」=エブリデイ・ロープライスという戦略です。
特売期間などを設けるのではなく、日常的に低価格で販売する手法です。
この会社は、2016年に大阪で初めてとなる店舗を寝屋川市にオープンさせるなど出店を加速。
現在、関西では大阪の4店舗を含む23店舗まで拡大しています。
このスーパーは魚や肉などの生鮮食品の鮮度や品ぞろえを売りにしていて、堺市の店舗でも鮮魚売り場には「たい」や「さば」などがまるごと一匹、売られていました。
また、精肉については調達や加工を自社のグループ会社が行ってコストを抑えることで、割安な価格で販売しているとしています。
物価高が続く中、会社では、自社ブランドの商品を充実させるなどして、低価格の販売路線を続ける考えです。
さらに、来年(2024年)には大阪・枚方市に物流施設を整備し、さらなる出店につなげたいとしています。
オープン初日に店を訪れた客は「店もきれいだし、安いし、お魚が新鮮そうでよかったです」と話していました。
オープンに立ち会ったバローホールディングスの小池孝幸 社長は「関西エリアは人が多く、いろんな新しいものに興味を持ってもらえるので魅力がある。競争は厳しいが、ぬるま湯につかっていたほうが危険だと思っているので、今後の人口減少を考えると、人口の多い関西で挑戦を続けていかなければならない」と話していました。
このほかにも、関西エリアには、低価格を強みにしたスーパーの進出が相次いでいます。
神奈川県に本社を置く「ロピア」も、2020年に関西エリアに初進出して、現在、兵庫や大阪などに14店舗を展開しているほか、来年には、同じく神奈川県本社の「オーケー」が関西1号店となる店舗を東大阪市にオープンさせる予定です。

【在阪スーパー対抗】
ほかの地域から割安を売りにしたスーパーの進出が相次ぐ中、大阪発祥のスーパーでは、店舗を改装したり品ぞろえを差別化したりして対抗しています。
大阪発祥のスーパー大手、「ライフコーポレーション」では、おととし(2021年)4月、大阪・港区の店舗からおよそ300メートルの距離に、神奈川に本社があり割安価格を売りにするスーパー、「ロピア」の店舗がオープンしました。
この結果、客がこの店舗に流れ、「ライフ」の店舗の4月から5月にかけての売り上げは、前の年の同じ時期から大幅に落ち込み、2021年度全体では前の年度からおよそ15%減少しました。
このため、「ライフ」はこの店舗全体の改装を実施。
主力の食品売り場では、▼単身世帯向けに、総菜は食べきりサイズのものを増やしたほか、▼タワーマンションの建設ラッシュで子育て世代も増えていることに着目し、素材にこだわった健康志向の自社ブランドの売り場を拡大したということです。
さらに、ライバル店にはない衣料品の品ぞろえを強化するなど、この店舗独自の戦略を打ち出しました。
こうした対策を重ねた結果、売り上げは徐々に回復し、ことし2月から先月(9月)までの売り上げは、ライバル店が進出する前の年(2020年)の同じ時期と比べて5%の減少となるところまで戻ってきているということです。
ライフコーポレーション広報部の中村陽菜 担当課長代理は「一時期は売り上げがガクッと落ちてしまったことで、競合店にない当社の強みをもっと磨いていこうとリニューアルした。企業の成長に競争は不可欠なので、その中で価格だけの競争だけではなく、同質化競争の脱却、品ぞろえの充実を図り、関西で勝ち残っていきたい」と話していました。
このスーパーでは、今後も、店舗ごとに地域の特性を見ながら売り場づくりを進めていくとしています。