東近江市長発言受け フリースクールなどの協議会 抗議文提出

滋賀県東近江市の小椋正清市長のフリースクールをめぐる発言を受けて、滋賀県内のフリースクールなどで作る協議会が19日、市長あてに発言の撤回などを求める抗議文を提出しました。

東近江市の小椋市長は、17日、不登校対策を話し合う会議で「文部科学省がフリースクールの存在を認めたことにがく然としている」などと発言し、会議の後には「不登校の大半は親の責任だ」とも述べました。
この発言を受けて、滋賀県内の40余りのフリースクールや支援者団体などでつくる協議会の代表者が市役所を訪れ、市長の代理の企画部長に抗議文を手渡しました。
抗議文では、「不登校の子どもたちは様々な苦しみや孤立を経験している。原因は多岐にわたるが親の責任だけではなく、十分な支援がないことも大きな問題だ」としています。
そのうえで、▼発言を撤回し、▼不登校に関わる団体や当事者などと対話して共通認識を作ることなどを求めています。
抗議文を提出した滋賀県フリースクール等連絡協議会の西村静恵 副会長は「自己責任で片付けられてしまうのかと悲しみがあった。これを機会に同じテーブルで対等に協議できる場を用意してほしい」と話していました。
発言について小椋市長はこれまでのNHKの取材に対し「舌足らずの部分があったが、国が十分な議論をせずにフリースクールへの支援を進めようとしているため、問題提起として発言した」としています。
東近江市によりますと、19日午後5時までに市民などからおよそ230件の電話やメールがあり、多くは「発言を残念に思う」などの批判ですが「市長と同じ事を考えていた」などの声もあるということです。

【フリースクール代表は憤り】
東近江市の小椋市長の発言について、大津市のフリースクールの代表からは憤りの声が聞かれました。
大津市のフリースクール「トライアンフ」には、小学2年生から中学3年生までの不登校の子どもなど13人が通っていて、週4日、子どもどうしが交流したり自由に過ごしたりする場を提供しています。
このフリースクールの代表で、自身の子どもも不登校の経験がある谷川知さんは「フリースクールは不登校の子どものありのままを認め、チャレンジしていく力を養っていく場所だ」としたうえで、今回の小椋市長の発言について「不登校の子どもに対して親御さんが本当につらい思いで接していることを知らないのだと感じた。市長の立場でこうした発言をすることで、せっかく見つけた安心安全な居場所を否定され、親御さんや子どもの気持ちが壊れていくということを分かっていない。こんなことで不登校の対策を実施できるのか疑問で、よく考えて発言してほしい」と話していました。