長時間労働で労災認定 医師の遺族 神戸市に労働環境改善要望

神戸市の病院に勤務していた若手医師が自殺し、長時間労働による労災と認定されたことを受けて、18日、遺族が神戸市に対して医師の労働環境の改善などを求めました。

去年5月、神戸市東灘区の甲南医療センターで専門的な技術や知識を学ぶ専攻医として勤務していた高島晨伍さん(当時26)が自殺し、労働基準監督署から極度の長時間労働が原因だとして労災と認定されました。
病院側は、過重な労働をさせた認識はないとしています。
18日は、高島さんの兄が神戸市議会を訪れ、医療などを担当する市の幹部や議員が出席する委員会で陳情を行いました。
陳情では「弟の労働時間の把握や管理は十分に行われていなかった。このままでは今後も若手医師が過労死に追い込まれ診察を受ける市民の命も守ることができない。改善には行政の支援が不可欠だ」と訴えました。
そのうえで、神戸市に対して、▼医師の労働環境の実態把握や、▼病院の働き方改革の後押しなどを求めました。
このあと議員からは「これ以上働いてはダメだと強く規制しないと同じことが起きるのではないか。再発防止策の検討を市に望みたい」とする意見が出されました。
陳情を終えた高島さんの兄は「弟は毎日深夜に疲れ切って帰宅する状況だった。こうした医師に診察されるのは飲酒運転の車の乗客になるのと同じで、患者が適切な診察を受けることも難しくなる。医師や患者の命を守るために労働環境の改善を考えてもらいたい」と話していました。