地上に降り注ぐ「宇宙線」可視化に成功

宇宙空間を飛び交う極めて小さな粒子「宇宙線」が絶え間なく地上に降り注ぐ様子を可視化することに成功したと、大阪公立大学などの研究グループが発表し、観測が難しい宇宙線の研究がさらに進む可能性があると注目されています。

大阪公立大学の藤井俊博准教授などのグループは8年前、ハワイにある国立天文台の「すばる望遠鏡」を使って星や銀河を撮影した画像の一面にノイズのような線が写り込んでいることに注目しました。
これらの線は通常、天体観測に必要ないとしてデータ処理されて消されますが、研究グループが詳しく解析したところ線の長さや向きがそろっていて大量の「宇宙線」が地上に降り注ぐ様子を捉えたものとわかったということです。
さらに2014年から2020年までに「すばる望遠鏡」で撮影されたおよそ1万7000枚の画像を調べたところ、このうち12枚の画像にも同様の線が写り込んでいることがわかりました。
宇宙線は宇宙空間を飛び交う極めて小さな粒子で、検出器などを使っても地上に降り注ぐ様子を観測するのは難しいということで、グループではこうした画像の解析によって宇宙線の研究がさらに進む可能性があるとしています。
藤井准教授は「1つ1つの粒子が目で見える形で捉えられている画像を見てすごく感動した。今回の方法でエネルギーの高い宇宙線がどこから来ているかなどを突き止めたい」と話していました。