食物アレルギー克服の医師が講演 “前向きに捉えて” 大阪

幼いころから重い食物アレルギーがあり、治療をきっかけに医師になった男性が大阪で講演し「症状があったことでたくさんの出会いがあり、夢もできた。アレルギーは大変だが、前向きに捉えてほしい」と呼びかけました。

この催しは、食物アレルギーなどの子どもを持つ親たちでつくる大阪狭山市の団体が企画したもので、医師や治療の経験がある若者などが講演しました。
近畿大学病院の研修医、河鰭(かわばた)貴裕さんは幼いころから小麦や卵などが原因の重いアレルギーの症状があり、これらを少しずつ食べて耐性をつける治療に取り組んだ経験を報告しました。
小学1年生の時からうどん1本やたまご焼きひとかけらなど、食べられる量を確認しながら治療を進めた結果、大学1年生のときには、目標としていたハンバーガーを食べられるようになったということです。
主治医への憧れがきっかけで医師になり、現在はアレルギー治療の専門医を目指しています。
河鰭さんは「症状があったことで支えてくれた人たちとのたくさんの出会いがあり、夢もできた。大変なときは私のことを思い出してもらい、アレルギーについて前向きに捉えてほしい」と呼びかけていました。
食物アレルギーがあるという山口県の小学4年生の児童は「私も治療を頑張って、おいしいものをたくさん食べられるようになりたいです」と話していました。

【食物アレルギーがある子どもが増加】
日本学校保健会の昨年度の調査によりますと、全国の公立の小中学校と高校で食物アレルギーがある子どもは、およそ52万7000人いて前回2013年度の調査と比べ12万人増えています。
また、激しいアレルギー症状「アナフィキラシー」を起こした子どももおよそ5万2000人と、前回より8000人余り増えたということです。
国は、2017年からアレルギー疾患を専門的に扱う拠点病院の整備を全国で進めていますが、専門医の不足と地域の格差が大きいことが課題となっています。
催しを企画した団体「スマイル・スマイル」の代表、田野成美さんは「いまも一人で苦しんでいる親や子どもたちがいると思いますが、自治体、教育現場、医療機関にいる人たちは全員が味方になってくれるはずで、情報交換の場を広げていきたい」と話していました。