76年の歴史 阪神元町駅地下街「有楽名店街」9月30日閉鎖

戦後まもない時期から営業を続けてきた神戸市の地下街が、老朽化などのため9月30日で閉鎖されます。
老舗のスナックには閉店を前に連日、常連客が訪れて思い出話に花を咲かせています。

神戸市中央区にある阪神・元町駅の改札へとつながる地下街「有楽名店街」は、戦後まもない昭和22年(1947年)、地下通路が開通したことに伴って開業し、最盛期には居酒屋やスナックなどおよそ50軒が軒を連ね、港で働く人や会社員などでにぎわいました。
テナントの貸主である阪神電鉄によりますと、9つほどの店舗が営業を続けていますが、設備の老朽化が進み、火災が起きた際に安全に避難することが難しいことから76年の歴史に幕をおろし30日で閉鎖されることになりました。
営業を続けてきた店には連日、常連客が訪れていて、このうち阪神・淡路大震災の直後から営業を続けているというスナック「ぺぺ」には、閉店が4日後に迫った今月(9月)26日も夕方から常連客が訪れ、グラスを傾けながら思い出話に花を咲かせていました。
「ぺぺ」のママ、佐伯一恵さんはもともと三宮の繁華街でスナックを営業していましたが、震災で大きな被害を受け、2か月後に比較的被害が少なかったこの名店街に移ってきたということで、被災した客どうしが励まし合っていた当時の様子を振り返っていました。
訪れていた常連客は、「こういう“味のある”商店街はもうほとんどないので残してもらいたかったが、時代の流れでしかたないかなと思います」と話していました。
佐伯さんは、「さみしいですが、精いっぱい頑張ったなと達成感を感じています。お店を閉めたら、これまで来てくれていた全国のお客さんのもとを訪ねるのを楽しみにしています」と話していました。