“大阪地検が違法な取り調べ”と提訴 録音録画一部提出命じる

大阪地検特捜部が捜査した横領事件で逮捕・起訴され、裁判で無罪が確定した不動産会社の前社長が、国に賠償を求めている民事裁判で、捜査の違法性を明らかにするため開示を求めている検察の取り調べの録音・録画について、大阪地方裁判所は、映像の一部を証拠として提出するよう国に命じました。

学校法人の土地取引をめぐる横領事件で無罪が確定した大阪の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の前社長、山岸忍さん(60)は、事件の捜査を担当した大阪地検特捜部の検事が、元部下を脅すなどの違法な取り調べをしたなどとして去年3月、国に賠償を求める裁判を起こしました。
裁判では、捜査の違法性を明らかにするため、自身と元部下などに対する取り調べの録音・録画の開示を求めていて、19日、大阪地方裁判所は、このうち元部下への取り調べの映像およそ18時間分を証拠として提出するよう国に命じました。
この中には、検事が机をたたく様子などが残されていて、裁判所は「口調や動作も一体となって元部下を畏怖させ、供述に影響を及ぼしかねず、録音・録画は言語で表現できないものも記録されている最も適切な証拠である」と判断しました。
山岸さんの弁護士によりますと、民事裁判で特捜部の取り調べの映像の提出が命じられるのは異例だということです。

【山岸さん“当然の命令”】
裁判のあとの会見で山岸さんは「きょうの結果は当然のことと考えています。自分たちのしたことを素直に受け入れて録音・録画を提出してもらいたい」と話していました。
そのうえで提出が命じられた記録について、今後、法廷の場で公開して調べることを裁判所に求めていきたいとしています。