阪神リーグ優勝で歓喜の夜 道頓堀で大阪府警“鉄壁守備”

18年ぶりの阪神タイガースのリーグ優勝が決まった14日夜、喜びを爆発させる姿が関西各地で見られました。

【大阪 道頓堀で警察“鉄壁守備”】
14日夜から15日未明にかけて阪神のリーグ優勝を祝うため大勢のファンたちが押し寄せた大阪・ミナミの道頓堀。
警察によりますと、26人が川に飛び込んだものの、けが人や大きなトラブルはなく、歩行者の誘導を徹底した大阪府警の“鉄壁守備”が光りました。
阪神が優勝するとファンたちは道頓堀で祝うのが恒例となっていますが、2003年のリーグ優勝時には道頓堀の戎橋から5000人以上が川に飛び込む騒ぎとなり、1人が死亡しました。
前回の優勝は2005年。
戎橋周辺で通行規制を行いましたが、周辺は一時、身動きがとれないほど混雑し、歩行者が車道にまではみ出す事態になりました。
大阪府警察本部は、今回もこうした事態が予想されるとして、およそ1300人の態勢で警戒にあたるとともに、戎橋などを中心に人の流れが止まらないように歩行者の誘導を徹底。
14日は午後6時ごろから戎橋の周辺に人が集まり始めましたが、「DJポリス」がスピーカーを通して注意を呼びかけ、橋の上で立ち止まる人がいると、警戒にあたっていた警察官が「危ないので立ち止まらないで」と声をかけていました。
さらに、リーグ優勝が決まったあとは、戎橋を南から北への一方通行に。
阪神甲子園球場などからも大勢のファンが押し寄せることが予想されたためで、警察官が一列となって橋の上で「道」を作り歩行者を誘導しました。
それでも、18年ぶりのリーグ優勝とあってファンたちの興奮が冷めることはなく、多くの人がとどまって密集する場面も。
すると、複数の警察官が、ファンたちを取り囲むようにして協力を求めながら橋の外へと誘導していました。
警察は、近くのビルの上から橋の状況を確認し、混雑具合に応じて橋そのものの立ち入りを一時的に制限するなどの対策を取っていました。
大阪府警察本部警備課の担当者は今回の警備について分析中としたうえで、「大きな事故が起きなかったのはファンの人たちが警察官の呼びかけに協力してくれたことが大きかった。警察としても人が滞留しないように呼びかけを徹底することができたのでは」としています。

【岡田監督が通ったお好み焼き店では】
阪神の18年ぶりの優勝を見届けようと、大阪市内にある岡田彰布監督が行きつけのお好み焼き店では、監督を知る店主やファンがテレビで試合を見守り、優勝の喜びを分かち合いました。
大阪・北区にあるお好み焼き店は、岡田監督が解説者をしていた2009年ごろから今シーズン、再び阪神の監督に就任するまで何度も通っていました。
14日夜、阪神の18年ぶりのリーグ優勝を見届けようとユニフォームを着たファンなどが集まり、試合を見守りました。
この店には、岡田監督がみずから鉄板の上で片手で卵を割って豚肉を焼いて作った鉄板焼きのメニューがあり、監督の座右の銘の「道一筋」にちなんで、「一筋焼き(ひとすじやき)」と名付けられています。
店では一番の人気メニューだということで、14日夜もファンが「一筋焼き」を口にしながら声援を送りました。
そして、阪神が18年ぶりの優勝を決めると店主の鶴巻早雪さんは、目に涙をためながら「本当に胸が詰まります。最高です。ありがとうございます。感謝しかありません」と話していました。
50代の男性ファンは「ファンとしても『優勝』という言葉を我慢してきましたが、やっと胸を張って『優勝したぞ』と言うことができます。めちゃくちゃうれしいです」と話していました。

【岡田監督の盟友 バースさん“次は日本一に”】
阪神が38年前にリーグ優勝した当時、三冠王を獲得し岡田彰布監督とチームメートだったランディ・バースさん(69)がNHKのオンライン取材に応じ「本当に喜ばしいことで私もうれしい。次は岡田監督が日本一になることを心から願っている」と笑顔で話しました。
バースさんは1985年(昭和60年)から2年連続で三冠王を獲得し、当時、岡田監督とともに中軸を打っていました。
バースさんは阪神の18年ぶりのリーグ優勝を受けて、アメリカ・オクラホマ州で現地時間の14日、NHKのオンライン取材に応じました。
この中でバースさんは「すごくうれしい知らせだ。阪神のファンにとってはリーグ優勝までに長い時がたっているから何か勇気を与えてくれる気持ちになる」と笑顔で話しました。
ことし7月には、名古屋市で行われた野球殿堂入りの表彰式で岡田監督に会ったということで「彼が阪神の監督になったことは本当にうれしかった。一緒に戦った仲だから僕たちはよい関係を保っている。表彰式で会ったときにも、岡田監督は大きな仕事をすると思っていたよ。リーグ優勝おめでとう」と祝福のメッセージを送りました。
またバースさんはファンや岡田監督に対して「阪神ファンにとって、この優勝は本当に喜ばしいことで私もうれしい。阪神ファンは調子の良いときも悪いときもずっと応援してくれる。ことしは彼らが歓喜する年だ。次は岡田監督が日本一になることを心から願っている」と笑顔で話していました。

【掛布さん“すごくうれしい”】
プロ野球、阪神の4番バッターで、現役時代「ミスタータイガース」と呼ばれた掛布雅之さん(68)は15日、古巣の18年ぶりのリーグ優勝について「すごくうれしい。ファンの方に喜んでもらえたのが一番だ」と語りました。
掛布さんは現役時代は阪神一筋でプレーし、通算349本のホームランを打って「ミスタータイガース」と呼ばれました。
1985年には、ランディ・バースさんと岡田彰布監督とともに甲子園球場のセンターへ3者連続ホームランを記録するなど4番として活躍し、チーム唯一の日本一に貢献しました。
掛布さんは現役時代にともに戦った岡田監督が率いて18年ぶりのリーグ優勝を果たしたことについて「すごくうれしい。ファンの方々に喜んでもらえたのが一番だ。中長期的に考えても連覇が考えられるチーム作りがスタートするなかでの結果で、若い選手にとって自信をつけた1年だったのではないかと思う」と喜びを語りました。
また、2軍監督を務めていた時に指導し、今シーズン全試合で4番で先発出場している大山悠輔選手について「4番の重圧に押しつぶされそうになったことも多々あると思う。優勝を決めたときに流していた涙がすごく印象に残っていて一瞬だが、4番の重圧から解放された瞬間だったのではないかと思う。1985年の当時の自分を思い出すような涙だった」とみずからの経験を振り返りながら語りました。
最後に自身がけん引した1985年以来となる38年ぶりの日本一に向けて「クライマックスシリーズや日本シリーズでも今までやってきた野球をやりきるだけだと思う」とエールを送っていました。