阪神優勝 道頓堀で警察警戒 海外から旅行者に注意も

大阪府警察本部は、大阪・ミナミの道頓堀を中心に人が密集することによる事故やトラブルが懸念されるとして、およそ1300人の態勢で警戒にあたっています。

大阪・ミナミの道頓堀川にかかる戎橋では、2003年のリーグ優勝時に5000人以上が川に飛び込む騒ぎとなり、1人が死亡したほか、複数のけが人が出ました。
このため、大阪府警察本部は戎橋の上や周辺などに警察官を配置して警戒にあたっています。
戎橋は中央に丸い形の広場があり、両端に川沿いの遊歩道につながるスロープが設置されていますが、警察はこのスロープを通行止めにし、橋の周辺にある遊歩道への立ち入りも規制しています。
また、近くにあるビルから混雑の状況を確認し、危険な兆候があれば橋そのものの通行を一時的に規制するとしています。
さらに、いわゆる「DJポリス」と呼ばれる警察官を戎橋の上や近くの御堂筋沿いなどに配置して、歩行者の誘導や注意の呼びかけを行っています。

【総領事館などが注意喚起】
大阪市にある韓国の総領事館は、阪神タイガースが優勝した場合、大阪・ミナミの道頓堀に人出が殺到すると日本の警察が警告しているとして、韓国からの旅行者などに対して、近づかないよう注意を呼びかけています。
この呼びかけは今月11日に出されたもので「今週の夕方は、道頓堀地域に多くの人が密集すると予想される」としたうえで「道頓堀を訪れる予定の韓国国民はなるべく、昼間の時間帯に訪れるか、夕方は別の地域を訪れるようお願いする」としています。
また、台湾の大阪の出先機関である台北駐大阪経済文化弁事処もホームページで、14日は心斎橋や道頓堀などに行くのを避けるよう呼びかけています。

【道頓堀橋に視界防ぐシート設置】
大阪・ミナミの道頓堀川にかかる道頓堀橋には、14日午後5時すぎ、周囲の視界をふさぐためのシートが設置されました。
2003年のリーグ優勝時に多くの人が川に飛び込んだ近くの戎橋側が見えないようにすることで歩行者が立ち止まらないようにし、事故やトラブルを防ぐのが目的だということです。
現場では、警察官が橋の欄干に長さおよそ2メートルの金属製の棒を次々に取り付けたあと、棒に青いシートをかけていました。
また、橋には機動隊の車両が待機し、警戒にあたっていました。

【大阪市長“飛び込みは絶対にやめて”】
阪神タイガースの18年ぶりの「アレ」が間近に迫る中、大阪市の横山市長は14日の記者会見で「『アレ』の瞬間は大いにお祝いのムードで迎えてもらいたいと思っているが、道頓堀川への飛び込みは命の危険を伴う行為なので絶対にやめてもらいたい。橋の上で跳びはねたり、密集したりすると、通行の妨げとなって事故につながるおそれがあるので、くれぐれも注意してほしい」と述べ、改めて安全対策への協力を呼びかけました。

【過去には騒動も】
これまで、阪神タイガースが優勝した際には、大阪・ミナミの道頓堀川に多くのファンが飛び込むなど、さまざまな騒動が起きています。
このうち、1985年にリーグ優勝した際には、熱狂的なファンがファストフード店に設置されていた「カーネル・サンダース人形」を胴上げし、道頓堀川に投げ込みました。
人形は、当時三冠王を獲得したバースさんによく似ているとされていました。
阪神は、この年の日本一を最後に長い低迷が続き、ファンの間では「カーネル・サンダースの呪い」とも言われてきましたが、人形は2009年、24年ぶりに発見されています。
大阪市によりますと、道頓堀川にファンが飛び込んだのも1985年が始まりとされているということです。
また、市内の別の場所では複数のファンが車を横転させる事件なども起きています。
それから18年後、2003年のリーグ優勝時には、道頓堀の戎橋に多くのファンが詰めかけておよそ5300人が道頓堀川に飛び込み、男性1人が死亡したほか、複数のけが人も出ました。
このため、翌月に開催された日本シリーズでは、飛び込みを防ぐために橋の欄干に木の板が設置され、柱や信号などにものぼらないよう、有刺鉄線が張り巡らされる事態となりました。
そして前回、2005年のリーグ優勝の時も戎橋周辺の通行を規制するなどの対策が取られ、川に飛び込む人は大幅に減りましたが、警察によりますと、周辺は一時、身動きが取れないほど混雑し、酒に酔った若者たちが近くの御堂筋の車道に飛び出したり、車の屋根にのぼったりしたということです。
この時は、公務執行妨害や器物損壊などの疑いで合わせて13人が検挙されています。