京都 東山 清水寺周辺の渋滞対策協議 11月下旬交通規制へ

秋の観光シーズンを前に清水寺などがある京都市東山区の渋滞対策などを話し合う会議が開かれ、ことしも11月下旬に交通規制などが行われることになりました。

京都市内では新型コロナによる行動制限がなくなり、外国からの旅行者も増えていることから、ことしの紅葉のシーズンには観光客の大幅な増加が予想されています。
清水寺などの観光スポットがある京都市東山区では例年、タクシーやマイカーによる渋滞が問題となっていて、11日、地元の自治会をはじめ寺や神社の関係者、それに京都市や警察の担当者が対策を話し合いました。
このなかで、観光客が集中することが予想される11月下旬の土日と祝日は、渋滞を防ぐため、▼清水寺に続く道について時間帯によって右折や左折での進入を禁止することや▼マイカーから公共交通機関に乗り換える「パークアンドライド」を促すため周辺に駐車場を設けることなどが決まりました。
会議では、住民が日常的に使っている道路が渋滞の際に抜け道として使われるようになっていて事故が心配だという意見も出されていました。
京都市歩くまち京都推進室の小川実さんは「観光客に京都にまた来たいと思っていただくことも大切な一方、市民の日常生活を守ることも大事だ。しっかりと対策を進めていきたい」と話していました。

【バス混雑 緩和対策は】
京都市では、清水寺などの観光地へ向かうバスが多くの観光客で混雑し、地元の住民が乗車できないこともあり、改善を求める声が上がっていました。
このため、市は、混雑を解消するため市内を走るバスに一日に何度でも乗り降りできる乗車券の販売を今月(9月)いっぱいで終了し、来年3月で廃止することを決めています。
さらに、5月の大型連休と11月の行楽シーズンには、バスの乗客に地下鉄への乗り換え券を配り、バスよりもすいている地下鉄の利用を呼びかけています。
特に混雑する夕方に京都駅に向かうバスの利用者に配付しているもので、途中で地下鉄に乗り換えてもこの券を使えば、地下鉄の料金は支払わずにバスの運賃だけで京都駅まで行くことができます。
乗り換え券を配付しているバス停は、▼東山三条駅、▼金閣寺道駅、▼銀閣寺道駅、▼岡崎公園美術館・平安神宮前駅の4つです。
このほか、地下鉄を利用して観光地に行くルートが書かれた案内図をJRの駅や観光案内所に置いて混雑の緩和を促しています。
京都市内に住む50代の男性は、「人がいっぱいだとバスに乗るのを見送ることもあります。私は足が悪いので座りたいですが、最近はほとんど座れていません」と話しています。
京都市内に住む80代の女性は、「キャリーケースを持ったグループの観光客がいて、バスに乗ることができなくて、地下鉄を利用したこともありました。観光客と地域の住民を分けてバスを利用できたらいいなと思います」と話しています。

【錦市場では対策強化】
串揚げや焼き物を販売するおよそ120の店が軒を連ねる京都の「錦市場」では、秋の行楽シーズンに向けてオーバーツーリズムの対策に力を入れています。
2017年ごろから海外からの観光客が増加し、ごみのポイ捨てが課題になっていて、今後、観光客の増加に伴い、ふたたび問題にならないか懸念しています。
このため商店街では、食べ歩きをせずに店の前で食べるよう商品を手渡す際に呼びかけるとともに、専用のスペースを設けたり、ごみ箱を置いたりしています。
だし巻き卵の店を経営する田中久美子さんは「この市場では食べ歩きが禁止ということを知らない人もいますが、売る側にも責任があると思います。買ったものをすぐに食べたいという観光客の気持ちもわかるので、スペースを設けました」と話しています。
外国人観光客が多いため、食べ歩きの禁止を呼びかける貼り紙を、日本語のほか英語、中国語、韓国語の4か国語で掲示し、さらに日本語、英語、中国語でアナウンスもしています。
また、商店街は道幅が狭く、地元の人が通るのが難しくなるほど混雑することがあるということです。
そこで、二酸化炭素の量で人の流れがわかる機械を設置しました。
人が少ない地点は「青」、混雑している地点は「赤」で表示されるようになっていて、この表示を見て、行き先を変更したり、訪れる時間をずらしたりするよう呼びかけています。
カナダから来た観光客は「市場で流れているアナウンスで食べ歩き禁止を知りました」と話しています。
ブラジルの観光客は「店の貼り紙を見て食べる時は店の端によって食べました」と話しています。