関西 8月の倒産増加 「ゼロゼロ融資」返済で資金繰り悪化も

先月(8月)、関西で倒産した企業は190社となり、去年の同じ月より47%増えました。
信用調査会社は、実質、無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中、原材料価格などの上昇も重なって資金繰りが悪化し、倒産する企業が出始めていると指摘しています。

信用調査会社の「帝国データバンク」によりますと、先月、関西で1000万円以上の負債を抱えて破産や民事再生などの法的な手続きを取った企業は190社となり、去年の同じ月から47.3%増えました。
業種別では、▼飲食店を含む「サービス」が69社にのぼったほか、▼「建設」が31社、▼「繊維」が13社などとなっています。
また、規模別にみると、▼負債額が1億円未満の倒産が153社と全体の80%余りを占め、中小・零細企業の倒産が増えているということです。
背景には、原材料価格や燃料価格などコストが上昇する中、売り上げが戻らず経営が悪化するケースのほか、「ゼロゼロ融資」の返済が始まったことで資金繰りが悪化し、倒産するケースも出てきているとしています。
帝国データバンク大阪支社の白浜雄介 副課長は、「物価高や人手不足、中国経済の減速など、事業環境が厳しい中、過剰に借りた負債を返さないといけない厳しい状況が続いている。年末に向けて倒産件数は増えるとみている」と話しています。

【ゼロゼロ融資とは】
「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナの感染拡大を受けて政府が中小企業の資金繰りを支えるために打ち出した、異例の政策です。
都道府県が金融機関に、利子に相当する分を支払うとともに、返済ができなくなった場合のリスクを信用保証協会が受け持つことで、企業からすると、利子の負担がなく、担保を差し出す必要もないため、「ゼロゼロ融資」と呼ばれています。
政府が、都道府県や信用保証協会を財政面で支援しています。
コロナ禍で経営が厳しくなっていた企業の負担を抑えられたことで、倒産件数は低い水準で推移してきましたが、ことし7月から返済が本格的に始まる中、資金繰りに行き詰まるケースも出てきています。

【信用保証協会 支援強化】
「ゼロゼロ融資」の返済が本格化する中で、大阪信用保証協会では、中小企業への支援を強化しています。
大阪信用保証協会によりますと、先月(8月)末の時点で新型コロナに対応した実質、無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」を利用している府内の企業はおよそ7万社にのぼっていて、ことし7月から返済が本格化しています。
協会がことし6月に行ったアンケートでは、「ゼロゼロ融資」などを利用する中小企業からは、原材料高や円安、それに人手不足によって経営環境が悪化していて返済に不安を感じている声が多く聞かれたということです。
このような状況を受けて、信用保証協会では返済を控えた企業に対して案内を送り、▼政府などの制度を利用して資金を借り換えることや▼中小企業診断士などの専門家から無料の経営サポートを受けることなどを提案しています。
資金繰りなどの悩みがある企業に具体的な対応策を示すことで不安の解消につなげるねらいがあります。
大阪信用保証協会の玉城健司 企画課長は「飲食業を中心に初めて金融機関から融資を受けたのが『ゼロゼロ融資』だったというところが多く、どこに相談したらいいのか悩んでいる人が大勢いる。資金繰りの支援や事業改善に向け注力し、倒産の抑制や従業員の雇用維持につなげていきたい」と話しています。