学校給食や寮の食事など業者が提供停止 各地で対応に追われる

広島市の業者が手がけていた学校の給食や寮などの食事が突然、提供されなくなっている問題で、京都府内の2つの府立高校の寮でも5日から食事が提供されず、学校側が弁当の手配をしたほか、教員がみずからコメを炊くなど、対応に追われているということです。

京都府教育委員会によりますと、2つの府立高校の寮では、広島市に本社のある会社「ホーユー」から食事の提供を受けていましたが、このうち、京都府南丹市の府立農芸高校では、5日から食事が提供できなくなりました。
高校では、全校生徒の6割にあたるおよそ100人が校内にある寮で生活していますが、このうち40人については急きょ、通学に切り替えてもらったということです。
また、残る60人の食事は、地元の店などにパンや弁当を手配したということです。
ただ、食事が足りないという生徒も多く、教員が鍋でコメを炊いたり、スーパーで粉末のスープを買ったりして対応しているということです。
7日の朝からは、宿直の職員が生徒たちに実習用の炊飯器で朝食向けのコメを炊くことになりましたが、ほかにはパンやインスタントのみそ汁などしか用意できていないということです。
京都府立農芸高校の湯川佳秀校長は「農業を学ぶ高校なのに食事が提供できず生徒たちに申し訳なく、教職員でできることをしています。早く解決しておいしい食事を提供したいです」と話していました。

【大阪の支援学校でも】
大阪府教育委員会によりますと、府立の学校では、▼吹田支援学校と▼守口支援学校、それに▼摂津支援学校で、「ホーユー」に給食の調理を委託していますが、今月(9月)1日以降、会社側と連絡がとれなくなり、給食の提供が止まっているということです。
このため、府教育委員会では、別の業者に依頼し、弁当を調達して対応しているということです。
一方、13の府立高校では、「ホーユー」が食堂の運営を担当しているということですが、6日時点で、食事の提供を含め、通常どおり、運営されているということです。
府教育委員会では、今後、食堂の運営に影響が出ないかどうかなど、情報の収集を進めることにしています。
【大阪知事“速やかに再開したい”】
大阪府の吉村知事は、記者会見で、府立の3つの支援学校で給食の提供が止まっていることについて、「連絡もなく、いきなり給食の提供が中止になるということは、事業者に対して、非常に残念に思う。速やかに給食を再開したいと思っているので、代替の事業者の確保に動いている」と述べました。

【兵庫県立高校7校の食堂で提供困難か】
兵庫県教育委員会によりますと、県内の7つの県立高校で、「ホーユー」に食堂の運営を委託しているということで、7日から、食事の提供ができなくなる見通しだということです。
このため県教育委員会は、あらかじめ弁当を持参することを保護者などに連絡するよう、それぞれの高校に伝えたということです。

【「ホーユー」 破産手続き申請を検討】
全国各地で学校の給食や寮などの食事が突然、提供されなくなっている問題で、食事を提供している広島市の「ホーユー」は、食材費や光熱費の高騰などを受けて経営環境が悪化したことなどを理由に広島地方裁判所に破産手続きを申請する検討を進めていることがわかりました。
広島市中区に本社がある「ホーユー」は、学校の給食や学生寮、官公庁の食堂の業務などを手がけてきましたが、今月(9月)に入ってから各地の高校や特別支援学校、警察学校などで給食や食事が提供できなくなる事態となっています。
影響が全国に広がる中、会社関係者によりますと「ホーユー」は食材費や光熱費の高騰などを受けて経営環境が悪化したことなどを理由に広島地方裁判所に破産手続きを申請する検討を進めていることがわかりました。
また、6日は、広島労働局の職員がおよそ2時間にわたって「ホーユー」の本社に入り、今後の対応などについて確認したものとみられます。
会社のホームページによりますと、ホーユーは中国地方と四国に加え、九州や近畿、東海、関東、それに東北のあわせて22か所に営業所があり、令和2年4月現在で、パート従業員を含め586人の従業員が働いているということです。