新型コロナ治療にヒト細胞の“おとり”投与 実験で効果確認

新型コロナの治療のため、ヒトの細胞の構造に似せた“おとり”となるたんぱく質を人工的に作り、サルに投与する実験を行ったところ、肺炎の進行が抑えられるなどの効果を確認できたと、大阪にある研究機関などのグループが発表しました。

これは大阪・茨木市にある医薬基盤・健康・栄養研究所などのグループが、オンラインで会見を開いて明らかにしました。
研究グループは、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際、表面にある「ACE2」と呼ばれる部分にくっつく性質に着目し、この部分の構造に似せた“おとり”の役割をするたんぱく質を人工的に作り出しました。
たんぱく質はウイルスの形に合うように設計されていて、ACE2よりもウイルスと結合する力がおよそ100倍強いということです。
効果を確かめるため、このたんぱく質を新型コロナに感染したサルに投与し、投与していないサルと比べたところ、▼体内のウイルスの量は7日目の時点で100分の1程度に減り、▼肺炎の進行も抑えられたということです。
医薬基盤・健康・栄養研究所の浦野恵美子 主任研究員は「ヒトの細胞の“おとり”を投与するので、ウイルスが変異しても効果は期待できるはずだ。注射よりも吸入する方法の効果が高いというデータもあり投与の方法を含め、さらに研究を進めて実用化を目指したい」と話していました。