現場で指示し強盗の罪 接見の被告 “ルフィ何者かわからず”

「ルフィ」などと名乗る特殊詐欺グループの幹部が、京都市の時計販売店から高級腕時計を奪ったとして逮捕・起訴された事件で、現場の指示役として強盗の罪に問われている30歳の被告がNHKの記者の接見に応じました。
店の場所など具体的なやりとりをする一方、「ルフィが何をしている人かわからなかった」と話し、どのようなグループか知らないまま事件に関与していたことを明らかにしました。

去年5月、京都市の腕時計販売店で高級腕時計41本が奪われた事件では、「ルフィ」を名乗って指示を出したとして、フィリピンを拠点にした特殊詐欺グループの幹部が逮捕・起訴され、大阪・鶴見区の自営業、伊藤一輝被告(30)は、現場の指示役として強盗の罪に問われています。
伊藤被告が8月25日、勾留されている大阪拘置所でNHKの取材に応じ、ルフィとの関わりや事件の動機を明かしました。
これまでの裁判で被告は「『ルフィ』という者の指示に従った」と述べ、京都の事件では実行役を集め、店の場所や逃走方法などルフィからの具体的な計画を伝えたとされています。
これについて実行役を紹介することが犯罪になると思わなかったか尋ねると、「ルフィが何をしている人かわからず、犯罪になるのか考えていなかった。特殊詐欺グループの幹部だと最近になって知ったが、加担した気持ちはない」と話しました。
また、被告はみずから建設会社を立ち上げ、売り上げは一時、1億円ほどありましたが、新型コロナの影響で借金を抱えたことなどからSNSで「闇バイト」に応募してルフィと直接やりとりをするようになっていました。
なぜ、闇バイトに応募したのか聞くと、「SNSで『高収入』と書かれているのを見て連絡した。経済状況に困っていて、闇バイトで稼いで元の生活に戻りたい一心だった」と述べました。
裁判で、伊藤被告は「毎日反省し、後悔している。被害者の方には申し訳なかった。罪を償い、人の役に立てるような人間になりたい」などと述べていました。
検察は懲役15年を求刑していて、9月1日、判決が言い渡されます。