ガソリン価格 大阪187.5円 京都・滋賀も最高値更新

今週のレギュラーガソリンの小売価格は、大阪府内の平均で1リットルあたり187.5円となり、先週に引き続き最高値を更新しました。

国の委託を受けてガソリン価格を調査している石油情報センターによりますと、28日時点のレギュラーガソリンの小売価格は、大阪府内の平均で前の週より1.4円値上がりして、1リットルあたり187.5円となりました。
大阪のガソリン価格が値上がりするのは11週連続で、都道府県別の価格を公表している2004年以降で最高値を更新しました。
関西のほかの府県でも大幅に値上がりしていて、▼京都が187.2円(+2.5円)、▼滋賀が184.8円(+3.1円)となり、いずれも最高値を更新しました。
また、▼奈良が183.2円(+2.3円)、▼兵庫が182.5円(+2.9円)、▼和歌山が182.3円(+1.7円)となっています。
これは、政府が負担軽減策として石油元売り会社に支給している補助金が縮小していることに加えて、産油国のサウジアラビアが自主的な減産に踏み切った影響で原油価格が上昇傾向にあること、さらに、円安によって輸入価格が膨らんでいることが要因です。
今後の見通しについて石油情報センターは、「今のガソリン価格の値上がりは国からの補助金の縮小の影響が大きく、今後、補助金がどうなるかが注目される」と話しています。

【京都 ガソリンスタンドも利用者も“厳しい”】
京都市下京区のガソリンスタンドでは、先週月曜日にレギュラーガソリンの価格をそれまでよりも3円値上げし、現在は1リットルあたり184円としています。
福井県から仕事できていた32歳の男性は「出勤にも車を使っているのでかなり厳しいです。車で遊びに行くことは最近は控えていますが、子どもをいろいろなところに連れて行ってあげたいので、早く価格が下がってほしいです」と話していました。
酒の配達をしている49歳の男性は「上がりすぎだと思います。なるべく窓を開けてエアコンを使わないようにしていますが、この暑さで節約にも限界があります」と話していました。
滋賀県からバイクでツーリングに来ていた25歳の女性は「趣味なのでしかたないと思っています。スピードを出しすぎないとか一定の速度で走るなど気をつかっています」と話していました。
ガソリンスタンドの香川剛志マネージャーは「価格が上がりすぎて満タンまで給油する人が減ってきています。値上がり分をすべて価格に転嫁できているわけではないので、会社としても、とても厳しいです」と話していました。

【奈良 ガソリン高騰 切実な声】
奈良県内のガソリンスタンドを利用していた人からは、生活への影響などを懸念する切実な声が聞かれました。
奈良市にあるガソリンスタンドを訪れた64歳の男性は、「仕事で車を使っている人はとても厳しいと思うので、なんとか早く手を打ってもらいたい」と話していました。
また、74歳の男性は、「負担に思わない人はいない。高すぎるのでできればレギュラーで150円ぐらいまで下がってほしい」と話していました。
ガソリンスタンドを経営する俣野忠和 統括部長は、「少しでも安く販売したいという思いはあるが、原油価格や石油元売りからの仕入れ値が毎週上がっている。価格が上がる中でも来店してくれるお客様に少しでも満足してもらえるサービスに努めていきたい」と話しています。

【兵庫 バス会社 燃料高騰で八方塞がり】
原油価格の高騰で兵庫県養父市のバス会社では燃料代の負担が重くのしかかり、これまでの経費削減では対応しきれないことから運賃の値上げも検討しています。
養父市に本社がある「全但バス」は、豊岡市の城崎温泉と神戸や大阪を結ぶ高速バスなどを運行していて、あわせて130台のバスを保有しています。
会社によりますとバスの燃料となる軽油の価格は去年の同じ時期とそれほど変わらないものの、ここ数年で最も安かった3年前(令和2年)と比べると46%も高くなっているということです。
ことし7月の燃料費は1900万円余りで、去年の同じ時期と比べると30万円程度、3年前と比べるとおよそ700万円増えているということです。
この会社では、以前はエアコンの温度設定を上げたり、待機中にエンジンを切ったりするなどして経費削減に努めていましたが、この数年は猛暑日も多いことから乗客や乗務員の安全を考え、こうした節約は行っていないということです。
このため会社では、経費の削減だけでは対応しきれないとして今後、高速バスの運賃の値上げも検討しているということです。
会社によりますと、過去に、消費税の引き上げに伴って運賃を値上げしたことはあるものの、経費の増加を理由にした値上げは実施したことがないということです。
全但バスの成田毅 取締役総務部長は、「燃料費の高騰は経営を圧迫する将来への不安要素です。コロナの影響で収益も圧迫され、それに燃料費も上がり八方塞がりの状態です。政府には、一時的でも減税など事業者に配慮するような施策をとってほしい」と話していました。

【京都 天橋立の観光船にも影響】
日本三景である宮津市の天橋立で運航される観光船も、燃料費の高騰による影響を受けています。
京都府北部の宮津市にある日本三景の天橋立などで観光船を運航する会社では、2隻の船を使って天橋立周辺を巡るルートを1日35便運航しています。
会社によりますと、観光船の燃料である軽油の調達価格が上がっていて、運航にかかる費用が増えているということです。
観光船を運航する会社の福田昌史さんは「コロナ禍がおさまり、乗客が戻ってきた中での燃料の高騰で、痛手となっています。このまま高騰するのは営業にも差し支えてくるので、政府にも何らかの対策を講じてもらえると助かります」と話していました。

【奈良 燃料費削減へ 生協が配達ルート見直し】
燃料価格の高騰を受けて、奈良県の生活協同組合「ならコープ」では、商品を配達する際のルートを見直すなどして燃料費の削減に努めています。
奈良県の生活協同組合「ならコープ」は、およそ200台のトラックで県内各地の組合員に食品や日用品を配達していますが、トラックの燃料となる軽油も高騰しています。
こうした中、ならコープでは少しでも燃料費を減らそうと、▼従来より走行距離が短くなるよう配達のルートを見直しているほか、▼停車中のアイドリングや急停車・急発進をしないようドライバーに呼びかけているということです。
また、今後は配達で使う車に電気自動車を活用することも検討しているということです。
ならコープ広報室の北林将馬さんは、「燃料価格の高騰が続いているので、配達ルートの見直しや電気自動車の活用で、なんとか経費節減に取り組んでいきたい」と話していました。

【専門家“補助減と円安重なる”】
レギュラーガソリンの全国平均の小売価格が最高値を更新したことについて、日本エネルギー経済研究所の小山堅 首席研究員は、「ガソリン価格は政府による補助のおかげで消費者にとっては、わりと安くなっていたが、その補助がだんだんと減ってきた。さらに、この間の円安も重なることで、今回の最高値をもたらしたと言える」と述べました。
今後の原油価格の見通しについては、「ことしの年末に向けて、世界の石油の需要が供給を上回り、需給が引き締まるというのが大方の予想で、その場合は原油価格に上昇圧力がかかることになる。ただ、世界でもっとも原油を輸入している中国の需要が振るわず、原油価格が下押しされる可能性もある」と述べ、中国経済の先行きや産油国の動向などを注意深く見ていく必要があると指摘しました。

【値上げ 街の人は】
ガソリンや電気料金などの値上げについて、大阪・梅田で聞きました。
パートで働く60代の女性は「何もかも値上がりしていて生活が苦しい。この暑さなので家にいるときは常にクーラーを使っていて、電気代の請求が怖い」と話していました。
30代の育児休業中の女性は「少しでもガソリン代が安いところに行って給油しています。ガソリンや電気代は値上げされても払うしかないので、ほかのところを切り詰めて節約します」と話していました。