大阪府 所得制限ない高校授業料無償化に向け制度案まとまる

所得制限のない高校授業料の無償化に向けて、大阪府は、来年度から段階的に実施し、令和8年度には、すべての学年を対象とするとともに、現在60万円となっている「標準授業料」を63万円に増額するなどとした制度の案をまとめました。

大阪府は、所得制限のない高校授業料の無償化に向けて、25日の会議で、制度の案をまとめました。
それによりますと、公立と私立の高校で、来年度から段階的に実施し、世帯の年収や子どもの人数にかかわらず、令和8年度には、すべての学年を対象にするとしています。
また、現在60万円となっている「標準授業料」を63万円に増額したうえで、私立高校の年間の授業料が「標準授業料」を超える場合、学校側が超えた分を負担するとしており、今後、「標準授業料」の改定の必要性を検証していくとしています。
さらに、私立高校に対する経常費助成について、来年度から段階的に単価を引き上げ、令和8年度に2万円程度、増額するとしています。
一方、私立高校の財源を確保するため、ふるさと納税を活用し、私立高校に寄付をした場合、控除の対象となる新たな制度を創設するとしています。
このほか、大阪公立大学などの授業料についても、令和8年度までに、すべての学年で無償化するなどとしています。
会議の中で、吉村知事は「子どもたちが、自分の進みたい道に進め、学びたいところで学べ、可能性を追求できる社会を目指していきたい」と述べました。
府は、今後、府議会での議論も踏まえ、必要な予算案を提出することにしています。

【関西の他府県に通う生徒も】
大阪府は、府内から関西の他府県の私立高校などに通う子どもの授業料も所得制限なく無償化するとしています。
府の試算では、7500人程度が、府内から関西の他府県の私立高校などに通っているということで、府は、制度の素案を示した、ことし5月以降、関西の他府県の担当者や、私立高校などでつくる団体に説明を行ってきました。
これに対し、私立高校などでつくる団体からは府内から通う生徒と、それ以外の生徒で授業料の負担に不公平が生じるなどの意見が出されたということです。
府は、25日にまとめた制度案について、改めて説明し、制度への参画の意向を確認していく方針です。

【推計で新たに229億円必要】
所得制限のない高校授業料の無償化に向けて、大阪府は、令和8年度には、すべての学年を対象とする方針で新たに229億円の予算が必要になると推計しています。
内訳は、▽全日制の私立高校などが168億円、▽府が認可した通信制の私立高校が11億円、▽全日制と通信制などをあわせた公立高校などが23億円、▽府内の子どもが通う関西の他府県の全日制の私立高校などが27億円となっています。
このほか、私立高校に対する経常費助成を生徒1人あたり2万円程度、増額するため、新たに13億円が必要になるということです。
また、大阪公立大学などの授業料の無償化については、令和8年度には新たに33億円が必要になるということです。
府は、財源について、▽将来の借金返済を目的とした「減債基金」の残高が今年度末で復元する見込みとなったことから、これまで基金への積み立てに計上していた分を充てるほか、▽貯金にあたる「財政調整基金」を活用する方針で、今後、必要な予算案を府議会に提出していくことにしています。