夏休み明け 子どもの悩みにどう向き合う 相談などの動きも

大阪市や京都市などの小中学校などでは、夏休みはまもなく終わり、25日から新学期が始まります。
学校が始まるのを楽しみにしている子がいる一方、夏休み明けは心や体の調子がすぐれず、悩みを募らせやすい時期とも言われます。
子どもたちの悩みに、どう向き合えばいいのでしょうか。

【新学期前に子ども電話相談会】
新学期が始まるのを前に、学校でのいじめや不登校といった子どもや保護者からの相談に、弁護士が無料で応じる電話相談会が神戸市で行われました。
夏休みが終わり新学期が始まる時期は、学校生活への不安などから子どもの自殺が増える傾向があります。
このため、いじめや体罰など学校での問題に取り組む「学校事件・事故被害者全国弁護団」は毎年この時期に電話相談会を開いていて、24日は兵庫県の弁護士6人が交代で全国からの相談に対応しました。
この中では、保護者から「学校とのトラブルが原因で子どもが不登校になった」などといった相談が寄せられ、話を聞き取ったうえで地元の弁護士を紹介していました。
国の統計によりますと、去年(令和4年)1年間に自殺した小学生から高校生は、全国で過去最多の514人に上り、特に、8月と9月はあわせて101人と全体の5分の1近くを占めています。
田尻志麻弁護士は「夏休みが終わり、ふだんの環境に戻ることがいじめや不適切な指導に苦しむ子どもにとって、プレッシャーになることもあるので、小さな心配事でも気軽に電話してほしい」と話していました。
電話相談会は26日まで行われ、電話番号や時間など詳しくは「学校事件・事故被害者全国弁護団」のホームページを確認してほしいとしています。

【フリースクールでも相談増える時期に】
不登校の子どもたちなどを受け入れている大阪市内のフリースクールでは、毎年、夏休み明けの9月から11月にかけて相談が増えるということで、「ひとりで悩まず学校以外の選択肢もあることを知ってほしい」と呼びかけています。
大阪・東淀川区にある「フリースクールここ淡路校」には小中学生18人が在籍していて、社会とのつながりを保ってもらおうと夏休み中も子どもを受け入れています。
学校と同じように時間割を設定していますが、勉強の時間であっても本を読んだり、絵を描いたりと自由に過ごすことができます。
このフリースクールには不登校の子のほか、週に数日、学校に通う子もいますが、夏休みが明けた9月から11月の時期は保護者からの相談が1年の中で最も多くなるということです。
小学5年生の男の子は、「友達と一緒に勉強もできるので学校よりも楽しいです。夏休みの宿題が半分以上残っていて、新学期が始まるのは楽しみではありません」と話していました。
フリースクールの責任者、上岡拓矢さんは、「小中学生の中には学校に行かなければいけない、学校に行ってないから大人になれないと考えて悩む子もいると思います。また、保護者の側もうちの子だけ学校に行けないなどと悩むこともあるかと思いますが、ひとりで悩まないでほしいとお伝えしたいです。しんどいところは無理せず、学校以外の選択肢もあることを知ってもらえたらと思います」と話していました。

【オンラインでの居場所作りも】
大阪・八尾市ではオンライン上の居場所を作ろうという取り組みも。
不登校の小・中学生を対象にネット上の仮想空間に教室を設置。
子どもたちは学校から支給されたタブレット端末で自宅から参加します。
顔や名前を出すことは必要ではなく、自分の分身となるアバターを使いクイズや勉強を行います。
ここに参加することで学校への出席扱いになるといいます。
八尾市教育センターの打抜真由美 所長は「オンラインを利用することによって社会とつながることができ、子どもたちが次の一歩へと歩み出せたらと思う」と話していました。

【解説委員は】
夏休み明けの子どもの悩みにどう向き合ったらよいか。
教育分野を長年取材する木村祥子解説委員は、子どもの異変に気づくサインについて▼学校の話をしたがらない▼ささいなことでイライラするそれに▼食欲がなくなることなどをあげています。
木村解説委員は「どうして学校に行かないの、とか親は言いがちですが、子ども自身も、何が原因で学校に行けないのか、うまく伝えられなかったり、自分自身よくわからなかったりする。その理由が、なんとなく体が動かない、言葉に出来ないような悩みとか不安があるので、まずは話を聞いてあげることは大切です」と話していました。