万博主要10施設工事費 予定より69億円増 資材高騰などで

再来年の大阪・関西万博で、資材の高騰などから入札が難航していた、博覧会協会が工事を発注した10の主な施設について、すべての入札結果が出そろいました。
これらの施設の落札価格の合計は、当初の予定価格より69億円余り高くなっています。

大阪・関西万博では、各分野のプロデューサーが手がける8つの「テーマ館」が展開する予定で、9日、放送作家の小山薫堂さんのパビリオンの工事について落札したことが公表され、博覧会協会が発注する主な10の施設の入札がすべて出そろいました。
いずれの工事も資材価格の高騰や複雑なデザインなどを理由に再入札が行われていて、「テーマ館」のうち、入札になった6つの落札価格の合計は、当初の予定価格から16億円上振れしました。
さらに、ほかの主な施設でも、▼大規模なイベントが行われる「大催事場」が23億円余り、▼外国の要人などを迎える「迎賓館」が6億円余り、当初の予定価格を上回るなどしていて、協会が発注した「テーマ館」を含む10の主な施設の合計で、およそ69億円、増加した形です。
「テーマ館」については博覧会協会が拠出する金額には上限があり、今回、上振れした分についてはプロデューサーが企業などから資金を募ることになるため、協会からの追加の拠出はないということです。
主な施設について、博覧会協会は、1850億円と見込んでいる会場建設費の範囲内で対応できたとしていますが、▼小規模の施設の入札がまだ残っていることに加え、▼海外の参加国が自前で建設するパビリオンの準備の遅れの影響も懸念されていて、予断を許さない状況が続いています。

【主要10施設の落札価格は】
博覧会協会が発注する主な10施設の落札価格と、当初の予定価格からの引き上げ幅は次の通りです。
▼「大催事場」は、3度目の入札で、落札価格は71億2000万円となりました。
当初の予定価格からの引き上げ幅は23億6000万円でした。
▼「小催事場」は、2度目の入札で、落札価格は38億8000万円となりました。
引き上げ幅は11億3000万円です。
▼「熱供給施設」は、2度目の入札で、落札価格は77億7000万円でした。
引き上げ幅は11億5000万円です。
▼「迎賓館」は、2度目の入札で、落札価格は34億円で、引き上げ幅は6億8000万円です。
続いて、「テーマ館」です。
▼生物学者の福岡伸一さんが手がけるテーマ館は、2度目の入札で、落札価格は14億1000万円。
引き上げ幅は1億9000万円でした。
▼アニメーション監督の河森正治さんが手がけるテーマ館は、2度目の入札で落札価格は10億9000万円となり、引き上げ幅は4000万円。
▼放送作家の小山薫堂さんが手がけるテーマ館は、3度目の入札で落札価格は12億6000万円、引き上げ幅は2億8000万円でした。
▼慶応義塾大学医学部の教授の宮田裕章さんが手がけるテーマ館は、2度目の入札で、落札価格は14億5000万円となり、引き上げ幅はおよそ5000万円でした。
▼映画監督の河※せ直美さんが手がけるテーマ館は、2度目の入札で、落札価格は15億7000万円となりました。
引き上げ幅は5億1000万円でした。
▼メディアアーティストの落合陽一さんのテーマ館は、2度目の入札で、落札価格は11億8000万円となりました。
引き上げ幅は5億4000万円で、倍近い水準となっています。
※「せ」は「瀬」の「頁」が「刀」と「貝」