和歌山 トンネルで施工不良 工事業者は認識も県にうその報告

和歌山県の那智勝浦町と串本町にまたがるトンネルで、コンクリートの厚さが発注した要件を満たしていないなどの施工不良があったと県が発表しました。
工事を行った業者は施工不良を認識しながら、うその報告をしていたということです。

施工不良が見つかったのは、那智勝浦町と串本町にまたがる「八郎山トンネル」です。
和歌山県によりますと、去年12月、照明を取り付ける工事の際、トンネルの内側のコンクリートに空洞があるのが見つかったということです。
このため県が全長700メートル余りのトンネルを調査したところ、▼コンクリートの厚さが県が発注した30センチに満たない部分が全体のおよそ8割の区間にわたっていて、▼最も薄いところでは3センチほどしかないことがわかったということです。
県から工事を請け負ったJV・共同企業体は、発注どおりに工事を行ったと県に報告していましたが、施工不良が明らかになったあとの聞き取りに対しては「施工不良を認識していた」と話し、うその報告をしたことを認めているということです。
県は、共同企業体の代表の和歌山市の「淺川組」など2社について、県が発注する工事の入札参加資格を6か月間、停止する処分としました。
このトンネルは、ことし(令和5年)12月に開通する予定でしたが、今回の問題の影響で使用できる時期は未定となっています。
和歌山県 県土整備部の福本仁志 部長は「心配をかけ大変申し訳ない。業者の負担で今後、必要な補修工事を行ってきたい」と話していました。

【淺川組が謝罪】
共同企業体代表の「淺川組」の津名成郎常務は、NHKの取材に対し、今回の施工不良について「和歌山県や地元の皆さんに多大なるご迷惑をおかけしおわびしたい」と述べて謝罪しました。
そのうえで、県に対してうその報告をしたことについて、「現場の社員は『早く完成させたかった』とだけ説明している。あってはならないことで、うそをチェックできなかったことは、会社として品質管理を行ううえで不備があったと考えている。今後、コンプライアンスの徹底を図るとともに、再発防止を進めたい」と話しています。