誤認逮捕の男性に大阪府警警察官“犯人はあなたしかいない”

大阪府警が事件とは無関係の男性を2回にわたって誤認逮捕した問題で、男性の代理人の弁護士が取材に応じ、取り調べを担当した警察官から「犯人はあなたしかいない」などと言われたと明らかにしました。
男性は、大阪府に対し、損害賠償を求める訴えを起こすことを検討しています。

大阪・守口警察署は、▼知人の女性に対し危害を加えるようなメッセージを送ったなどの容疑と、▼この女性の画像を別の知人に送った容疑で、ことし4月と5月の2回にわたって事件とは無関係の20代の男性を誤認逮捕しました。
男性は42日間勾留され、いずれも処分保留で釈放されていて、画像などを送ったとされたアカウントは男性とは別の人物のもので、何者かがなりすましたとみられることがわかっています。
これについて、男性の代理人の弁護士が取材に応じ、男性が取り調べを担当した警察官から「犯人はあなたしかいない」とか、「暴力団の組長は直接的な証拠はなくても実刑判決になった、君も同じだ」などと言われたと明らかにしました。
さらに、大阪地検の検察官からも「100パーセント犯人だと思う」などと言われたということです。
男性はこうした発言を弁護士から渡されたノートにメモしていたということで、逮捕後、一貫して否認していました。
男性は「自白を強要されて精神的苦痛を受けた」として大阪府に対し損害賠償を求める訴えを起こすことを検討しています。

【弁護士“聞く耳もたず”】
誤認逮捕された大阪府の20代の男性の代理人を務める森島正彦 弁護士は「客観的な証拠を十分に集めずに逮捕に踏み切っていて、自白があればなんとかなるという警察の見込みがあった可能性がある。自白を偏重しているのが今回の件を生み出した要因ではないか」と話しています。
そのうえで、「男性は逮捕から3か月たった今もショックを受けている。取り調べで侮辱的な発言をされたと聞いて強い憤りを感じた。『やっていない』と一貫して否認しているのに、『やっただろう』と聞く耳を持たなかったことは問題で、誤認逮捕は絶対にあってはならない」と話しました。

【検察“不適正な点はない”】
今回の誤認逮捕について、大阪地方検察庁の北岡克哉 次席検事は「不適正な点があったとは考えていないが、結果的に犯人でない方を勾留してしまったことは申し訳なく思っている」としています。