フジテック株主総会 創業家側の人事案否決 会社側の案が可決

投資ファンドと創業家との対立が続く中、滋賀県彦根市に本社があるエレベーターメーカーの「フジテック」は、21日、株主総会を開きました。
この中で、創業家出身の前会長が提案した社外取締役8人の選任案は否決された一方、会社側が提案した9人の取締役の選任案は可決されました。

フジテックをめぐっては、ことし2月の臨時株主総会などを経て株式のおよそ17%を保有する香港の投資ファンド、「オアシス・マネジメント」が推薦した社外取締役が取締役会の半数を占め、経営に対するファンド側の影響力が強まっていました。
21日午前10時から彦根市の本社で開かれた株主総会では、▼新たに社長に就任する原田政佳氏など9人の取締役の選任を求める会社側の提案や、▼創業家出身で、ファンドとの対立によって会長の職を解かれた内山高一氏が推薦する、社外取締役8人の選任を求める提案などが諮られました。
採決の結果、会社側の提案は可決された一方、創業家側の提案は否決されました。
今回の株主総会では、投資ファンドが支持する会社側と創業家側との間で、経営の主導権をめぐる争奪戦となりましたが、創業家側の提案が否決されたことで、ファンド側が影響力を維持する形となりました。

【前会長“説明時間足りず”】
創業家出身で、フジテックの前会長の内山高一氏は、株主総会のあと滋賀県彦根市で記者会見を開きました。
この中で、内山氏は自身の提案が否決されたことについて、「2月の臨時株主総会以降、準備を進めてきたが、多くの株主に提案の内容を説明するための時間が足りなかった」と述べました。
そのうえで、内山氏は「フジテックは、投資ファンドに経営が乗っ取られている状態だ。ファンドを追い出して会社を正常化できるよう、対抗策を考えていきたい」と述べ、経営の主導権を取り戻すため、今後、臨時の株主総会を開くよう求めることも視野に、取り組みを続ける考えを示しました。

【会社“企業価値向上を”】
フジテックは、「株主をはじめとするステイクホルダーの皆さまの期待に応えるべく、新生フジテックとしてグループ一丸となって更なる企業価値向上を目指してまいります」とするコメントを発表しました。

【投資ファンド“株主から信任”】
フジテックの筆頭株主で、香港に拠点を置く投資ファンド、「オアシス・マネジメント」のセス・フィッシャー最高投資責任者は「フジテックのすべてのステイクホルダー・利害関係者の利益のために、企業統治と業績の改善を継続するという株主からの明確な信任を受けました。長期的かつ積極的に会社と関わる株主として、会社が利益と経営の改善に立ち戻ることを期待しています」というコメントを出しました。