「京都賞」 不妊治療発展などに貢献の柳町隆造博士ら3人

科学や芸術の発展に貢献した人に贈られる「京都賞」に、ことしは、不妊治療の発展などに貢献した柳町隆造 博士ら3人が選ばれました。

京都賞は、去年亡くなった稲盛和夫氏が設立した財団が、科学や芸術の発展に貢献した人に贈る国際的な賞で、16日、3つの部門のことしの受賞者が発表されました。
このうち、▼先端技術部門では、北海道出身の生殖生物学者で、ハワイ大学の名誉教授、柳町隆造博士(94)が選ばれました。
柳町博士は、1963年に培養液の中でハムスターの体外受精に成功したほか、1995年にはマウスの体外受精で、精子を注入する器具の先端を電圧をかけて震わせることで、卵子への負荷を軽くして受精させる技術も確立しました。
こうした研究は、ヒトの不妊治療や哺乳動物の生殖補助技術の発展に貢献したとしています。
また、▼基礎科学部門では、アメリカのプリンストン大学の名誉教授で、数学者であり、物理学者でもあるエリオット・H・リーブ博士(90)が選ばれました。
リーブ博士は、量子物理学を中心に数多くの業績を通して、物理学、化学など広い分野で数理的な研究の基盤を確立するとともに、数学の解析学の分野でも大きな貢献をしました。
また、▼思想・芸術部門では、インド在住の美術家、ナリニ・マラニ氏(77)が選ばれました。
マラニ氏は、ビデオや投影の技術を用いて影絵芝居や回り灯籠を思わせる空間を作り上げました。
作品の中には対立や融和、それに抑圧や神話などをテーマにしたものがあり、美術の潮流に欧米圏以外から変化をもたらしたことに貢献しました。
京都賞の授賞式はことし11月に行われ、受賞者には賞金1億円が贈られます。