近畿大雨 24時間雨量 平年1か月分超も 災害に厳重警戒

前線や台風の影響で、2日の近畿地方は和歌山県と奈良県で一時、線状降水帯の雨雲が流れ込み、24時間に降った雨の量が平年の6月1か月分の雨量を超えている地域があります。
2日いっぱいは再び線状降水帯が発生し、災害の危険が急激に高まるおそれがあります。
引き続き厳重な警戒を続け、安全な場所で過ごすようにしてください。

大阪管区気象台によりますと、台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、和歌山県と奈良県には、一時、線状降水帯の雨雲が流れ込み、いまも発達した雨雲がかかりつづけています。
2日午後8時までの1時間には、▽和歌山県の高野山で25ミリ、▽和歌山県湯浅町で22.5ミリの強い雨を観測しています。
湯浅町では午後8時までの24時間に降った雨の量が、344ミリに達していて、平年の6月1か月分の雨量を超える大雨になっています。
これまでに降った雨で、和歌山県と奈良県では、氾濫の危険性が非常に高い「氾濫危険水位」を超えている川があります。
また、大阪府と和歌山県、奈良県では、「土砂災害警戒情報」が発表されている地域があります。
和歌山県の海南市と紀美野町のそれぞれ一部地域に、「緊急安全確保」が出ています。
「緊急安全確保」は警戒レベルで最も高いレベル5で、すでに災害が発生、または発生が切迫している状況で命を守る行動をとるよう呼びかけるために出されます。
自治体は、近くの頑丈な建物や自宅の2階以上、それに斜面から離れた場所など少しでも安全な場所で命が助かるような行動を直ちにとるよう求めています。
市と町は、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。
近畿地方では、2日夜遅くにかけて、局地的に雷を伴って近畿中部と南部で1時間に60ミリの非常に激しい雨が降る見込みです。
和歌山県と奈良県では、2日いっぱいは再び線状降水帯が発生し、災害の危険が急激に高まるおそれがあります。
3日は明け方にかけて近畿中部と南部で1時間に30ミリ以上の激しい雨が降る見込みです。
その後、天気は回復し昼前以降は、高気圧におおわれて広く晴れる見込みです。
また、台風の影響で波も高くなり、近畿南部の海上を中心に、3日の夕方にかけて、うねりを伴ってしける見込みです。
気象台は土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒するとともに、低い土地の浸水に警戒し、高波にも十分注意するよう呼びかけています。
各地に避難の情報が出されています。
川や崖の近くなど災害の危険が予測される地域に住む人は、安全な場所で過ごすようにしてください。

【和歌山 海南 濁流がハウスに】
和歌山県海南市鳥居の日方川の支流沿いで農園を営む54歳の男性によりますと、2日午前10時すぎに雨が強くなり、正午前に、川の近くを通ったときには、水があふれることはなかったということですが、午後1時ごろに改めて見ると茶色の濁流が川からあふれていたということです。
濁流は、川から数メートル離れたイチジクの農業用ハウスにも流れ込み、畑が30センチほど水につかったということです。
午後3時ごろには、雨は収まり、あふれていた川も水がひいたということですが、被害状況などの確認に追われているということです。
撮影した男性は、「50年近く住んでいるがこれほどまでに川の水があふれているのは初めて見た。雨の音も大きくて怖かった。作物への影響が心配です」と話していました。

【大和川 水位上がり茶色く】
2日午後3時すぎ、大阪・藤井寺市北條町の堤防から見える大和川は、水位が上昇し、茶色く濁った水が勢いよく流れていました。
橋桁には、水位を示す印が書いてあり、川の水は「警戒」というところまで上がっていました。
また、川幅も堤防まで広がり、河原が見えなくなっていたほか、上流から流されてきた樹木やゴミが橋桁にぶつかって激しく水しぶきを上げていました。

【大和川 住宅近くまで水】
2日午後4時すぎ、大阪・柏原市の青谷では近くを流れる大和川からあふれ出したとみられる水が住宅街のすぐ近くまで来ていました。
住宅街に隣接する畑は、茶色く濁った水でいっぱいになっていて、畑の隣を通る道路も水をかぶって途中から通れなくなっていました。
近くの住民は、自宅の窓から顔を出して、心配そうに外の様子を確認していました。

【有田市 ボートで住民救助】
和歌山県有田市では2日午後3時ごろ、大雨で自宅から避難できなくなっていた住民から消防に救助要請がありました。
これを受けて午後3時半ごろ消防と地元の消防団が現場にかけつけ、住民3人を青色のボートに乗せて救助していました。

【富田林市では土砂が国道に流れ込む】
大阪・富田林市では、用水路から水があふれて一時、国道に土砂が流れ込みました。
消防によりますと、2日午前11時半ごろ、富田林市昭和町で近所の人から「道路に水が流れてきている」と通報がありました。
現場は、国道170号線の道路脇の斜面の上に用水路が流れているところで、用水路からあふれた水が斜面の土砂を削って、道路上に流れ込んだということです。
発生から3時間ほどたった現場にはまだ、土砂が残っていて、片側2車線のうち1車線を規制して、ショベルカーが土砂を取り除く作業にあたっていました。


【無理な帰宅は控えて】
近畿地方の雨は、2日の昼ごろに比べると弱まってきていますが、気象台は、和歌山県と奈良県では、2日夜いっぱいは「線状降水帯」が発生する可能性があるとしています。
これまでの雨で、▼川の水位は高い状態が続いていて、▼地面も大量の水分を含み土砂災害の危険性も高いままです。
雨が弱まったとしても油断せず、自治体が出す避難情報を確認して、安全な場所で過ごすようにしてください。
勤務先から帰宅する人も多い時間帯です。
2019年の台風19号の際には、勤務先から帰る途中に災害に巻き込まれて4人が死亡するなど、過去の災害では、帰宅中の犠牲者が相次いでいます。
冠水している道路では、水深が浅くても流れがあれば、車も簡単に流されてしまいます。
無理な帰宅はしないでください。
外の様子を確認し、状況が落ち着くまでは、会社で待機することも検討してください。