大阪湾のスナメリ 調査に密着

大阪湾で暮らす生き物に興味を持ってもらおうと、一般の人も参加して、イルカの仲間・スナメリの調査が行われました。

スナメリは日本にいるイルカやクジラの仲間でいちばん小さく、大阪府はスナメリを、「絶滅の危険が増大している種」に指定しています。
地元の水族館「海遊館」は、スナメリが繁殖や出産するこの時期、生態を詳しく知るために専門学校生や一般の人と一緒に船から調査しています。
5月31日はおよそ30人が参加し、2時間余りで、およそ20頭のスナメリが見つかりました。
中には親子とみられるスナメリもいました。
ふだんは関西空港の周辺の海で多く目撃されているということですが、31日はさらに北側の大阪市寄りの海でも見つかりました。
海遊館によりますと、人間の活動域に近いところで暮らすスナメリを調査することで、海の豊かさや汚染の程度などを知ることができるということです。
参加した10代の学生は「スナメリをたくさん見つけることができてうれしいです。大阪湾のスナメリについてわかっていないことが多いのでこれからも調査に参加したいです」と話していました。
スナメリの調査を担当する海遊館の袖山修史さんは、「大阪湾は汚いイメージがありますが、スナメリをはじめすごく豊富な生物がいるので、それを知ってほしい」と話しています。

【スナメリって何?】
スナメリは、主にアジアの温帯地域の沿岸に生息している小型のイルカの仲間です。
灰色の体で、背びれやくちばしがないのも特徴です。
スナメリが暮らせる海はエサが豊富なことから、「豊かな海の象徴」とも呼ばれています。
日本では東京湾や有明海など5か所の海域に生息していて、大阪湾を含む瀬戸内海もそのひとつです。
スナメリは水深の浅い海域を好むため、生活圏が人間の活動域とも重なり、海の環境変化の影響を受けやすいといいいます。
大阪湾ではかつて多くのスナメリが目撃されていましたが、水質汚染や海岸の埋め立てなどで生息しにくくなっているともいわれています。
大阪府はスナメリを、「絶滅の危険が増大している種」に指定していて、地元の水族館、「海遊館」は2010年から本格的な生息調査を始めています。
これまでに行った調査では、岸和田市の沖や関西空港の南側の海などでスナメリの生息が確認できたということです。
また、海遊館では一般からのスナメリの目撃情報を求めていて、たとえ死んだスナメリであっても、解剖してどこから来たかや何を食べているかなどについても調査しています。