重い目の病気の患者にiPS網膜細胞を移植 初の治験開始へ

目の視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者に、iPS細胞から作った網膜の細胞を移植する、初めての治験の計画を国に届け出たと、開発を行っている大阪の製薬会社が発表しました。
国の機関の調査を受けたあと、実用化に向けた治験を進めるとしています。

治験の届け出を行ったのは、大阪市に本社を置く製薬会社の「住友ファーマ」と東京のバイオベンチャー「ヘリオス」です。
両社は、視界がゆがんだり視力が低下したりする「加齢黄斑変性」などから症状が進んだ「網膜色素上皮裂孔」という重い目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞が含まれた液体を移植し、機能の回復を目指す新たな治療法の開発を進めています。
両社は、この治療法の治験の計画書を医薬品の審査を行う国の機関、PMDA=医薬品医療機器総合機構に届け出たと発表しました。
iPS細胞から作った網膜の細胞の移植は、理化学研究所などのグループが2014年に世界で初めて臨床研究として行っています。
住友ファーマは「iPS細胞を用いた治療を一日も早くお届けするために、早期の有効性・安全性の確認を進めます」とコメントしていて、実用化の時期は、現時点では再来年度中を目標としていますが、治験の状況を踏まえて検討するとしています。