iPS心筋細胞シート移植 治験すべて終了 阪大研究グループ

大阪大学の研究グループは、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞をシート状にして移植する手術を、治療法の開発のための治験として実施してきましたが、計画していた8例をすべて終了したと発表しました。
患者の経過はいずれも順調で、グループでは2年以内の実用化を目指したいとしています。

これは19日、大阪大学の澤芳樹 特任教授らのグループが記者会見を開いて明らかにしました。
グループではiPS細胞から心臓の筋肉の細胞を作り、シート状に培養した「心筋細胞シート」を重い心臓病の患者の心臓の表面に貼り付けて移植する手術を、新たな治療法を開発するための治験として3年前(2020年)から実施してきました。
手術は大阪大学や東京女子医科大学などであわせて8人の患者に行われ、治験で計画していた手術をすべて終了したということです。
東京女子医大などでは大阪で作製したシートを運んで手術が行われ、患者の経過はいずれも順調だということです。
グループでは手術から半年間の経過を確認し、安全性や有効性に関するデータをまとめたあと、保険が適用される一般の治療法としての承認を国に申請して2年以内の実用化を目指したいとしています。
ことし3月に東京女子医大で手術を受けた60代の女性は、「治験に参加するか迷いましたがよくなる可能性があるならと家族に背中を押されて決断しました。今は参加してよかったと思っています」と話していました。
澤特任教授は「共同研究者や患者の協力があり無事にすべての手術を終えることができました。世界中の患者のために大阪発の治療法として確立できるよう、引き続き頑張りたいです」と話していました。