子どもたちを熱中症から守る

暑さで、大阪市内の小学校で体育の授業中に気分が悪くなり熱中症の疑いで搬送された事案もありました。
子どもは大人より熱がこもりやすいのでより注意が必要です。
子どもたちを熱中症から守る対策が学校で進められています。

【小学校で熱中症対策進む】
教育現場でも熱中症への対策が進んでいます。
大阪・枚方市の市立枚方第二小学校では気温の上昇に合わせて運動場に子どもたちが休憩するためのテントを設置しました。
テントには暑さを和らげるため頭上から霧状の水を吹きつける「ミスト装置」も設置されていて、子どもたちは授業の合間に順番に涼んでいました。
この小学校では運動場に通じる通路と体育館の入り口に、それぞれ気温と湿度、それに「暑さ指数」を表示する計測器を設置しています。
教員が授業の前に値を確認し、▽気温が35度以上の場合や▽暑さ指数が31以上の場合は、外での運動をやめ、屋内での授業や図書室で読書するなどの対応を取っているということです。
また、この学校では、3年前(2020年)からランドセルを背負わずに登校してもいい「ノーランドセル登校」という独自の取り組みも進めています。
教科書などをたくさん入れたランドセルを背負って通学するのは負担が大きいため、▽通気性の良いリュックサックや手提げかばんでの登校を呼びかけているほか、▽自宅で使わない教科書やノートは教室に置いておくよう指導しているということです。
ことしも来月(6月)から始める予定です。
このほか、この学校では、9月下旬から10月の初めに行われていた運動会を、暑さが和らぐ10月下旬に変更するなど熱中症への対策を進めています。
市立枚方第二小学校の坂本雅人 校長は、「こどもたちには気温や自分の体調に応じて、外で遊ぶのをやめたり水分をとったりして対策をとるよう指導しているが学校としてもできるだけの対策を進めて、子どもたちが安全で安心な学校生活が送れるように努めたい」と話していました。

【熱中症対策学ぶセミナー】
暑さが本格化するのを前に子どもの熱中症の予防に役立ててもらおうと、教職員や保育士を対象にしたセミナーが大阪市で開かれました。
大阪府が開いた17日のセミナーには、オンラインを含め教職員や保育士など120人余りが参加し、救急医療やスポーツ医学などの専門家3人が講演しました。
このうち、大阪国際大学の井上芳光 名誉教授は、子どもは体が小さいため気温の影響を受けやすく、汗をかく機能なども十分発達していないとして、▼子どもの顔が赤くなっていないかや、▼大量の汗をかいていないかをよく観察するよう呼びかけました。
そして、対策については、▼日頃から適度な外遊びをするなどして暑さに慣れる「暑熱順化」を促すこと、▼こまめな水分補給を心がけること、▼通気性のよい衣服を着用することなどをポイントにあげていました。
また、日本スポーツ協会スポーツ医・科学委員会の川原貴 委員長は、子どもの熱中症の多くは体育の授業や部活動で起きていると指摘したうえで、気温や湿度などをもとに環境省が発表する「暑さ指数」の数値が31を超えた場合は原則、運動を中止すべきだと説明しました。
セミナ−に参加した60代の養護教諭の女性は、「子どもが熱中症になっていないか、観察するポイントがわかってよかった。子どもたちの様子をより注意して見ていきたい」と話していました。