コロナ禍で自主的在宅勤務“欠勤扱い不当”大阪市に賠償命令

3年前(令和2年)、海外から帰国した大阪市立の中学校の教諭が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、自主的に在宅勤務をしたところ、欠勤扱いにされたのは不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、「当時の社会情勢などを考慮しない対応で著しく妥当性を欠く」と指摘し、大阪市に対し9万円余りの賠償を命じました。

大阪市立の中学校教諭だった松田幹雄さん(67)は、3年前、労働組合の活動で訪れたスイスから帰国したあとおよそ2週間、自主的に在宅勤務をしたといいます。
しかし、市側が要件を満たしていないとして欠勤扱いにし、人事評価が最低になったことから不当な対応だと主張して、大阪市に対し、賠償などを求めていました。
17日の判決で、大阪地方裁判所の横田昌紀 裁判長は、「当時、新型コロナに関して政府を含めて日々刻々と変わる事態に応じて対策などを模索しており、教育機関も難しい判断を迫られていたと思われる。しかし、校長は社会情勢など考慮すべき事情を考慮せず、市の教育委員会の見解だけに沿った対応をしており、著しく妥当性を欠き違法だ」と指摘し、大阪市にあわせて9万円余りの支払いを命じました。
松田さんは、「市側の責任を認めていただいて本当にうれしく思っています」などと話していました。
一方、大阪市教育委員会は「内容を慎重に精査したうえで、今後の対応を検討したいと考えている」としています。