関西の大手私鉄 昨年度決算 鉄道利用回復などで増益相次ぐ

関西の大手私鉄の昨年度1年間の決算では、新型コロナの影響が和らぎ鉄道利用が回復したことなどから、各社とも最終的な利益が前の年度から大きく増えました。
ただ、各社は今年度も、鉄道利用がコロナ禍前の水準に回復するのは難しいとみていて、成長が見込める分野への投資を進める方針です。

▼阪急阪神ホールディングスが15日、発表した昨年度1年間の決算では、最終的な利益は前の年度から2.1倍の469億円となりました。
これは、新型コロナの影響が和らぐ中で、▽鉄道の利用者数がコロナ禍前の90%程度まで回復したことに加え、▽ホテルやツアー旅行の需要が伸びたことが主な要因です。
このほかの大手私鉄では、▼京阪ホールディングスは最終的な利益が前の年度から83%増えて176億円、▼南海電鉄は3.6倍の146億円となりました。
また、▼大阪メトロは前の年度の3倍の151億円でした。
各社とも、鉄道利用の回復が進んだものの、コロナ禍前の水準には届いておらず、国内外の不動産など成長が見込める分野への投資を進める方針です。
一方、▼近鉄グループホールディングスは、傘下の近畿日本ツーリストが新型コロナをめぐる委託事業で自治体に人件費を過大請求していた問題を受け、決算の発表を延期しています。

【阪急阪神“海外不動産に注力”】
阪急阪神ホールディングスの大塚順一 執行役員は15日の決算会見で「不動産事業に加え、プロ野球を含むエンターテインメント事業など多くの事業で回復がみられたが、鉄道事業に関しては、コロナ禍前の状態に戻ることは難しい。今後は、経済成長が見込まれるASEANの不動産事業などに力を入れていきたい」と話していました。