大阪・関西万博 スイスのパビリオン概要 各国に先駆け発表

大阪・関西万博に参加するスイスは1日、パビリオンを設ける各国の中でもいち早く、大阪で記者会見を開き、その概要を明らかにしました。

大阪・関西万博では、これまでに142か国が参加を表明していて、このうちおよそ50か国は自分たちで設計するパビリオンを構える予定です。
そのなかのひとつ、スイス政府の担当者らは、1日、大阪と東京でそれぞれ記者会見を開き、みずから設計し、建築するパビリオンのコンセプトやデザインを発表しました。
パビリオンは風船のような球体が連なった形で、分子や細胞、エネルギーを表現したということです。
世界的な製薬会社の本社や素粒子を研究する国際的な機関が立地するなど、スイスが誇る技術力を象徴するデザインにしたということです。
展示スペースでは、「革新的なスイス」をテーマに生命科学や地球環境などの分野でスイスの高い技術力を紹介するほか、大阪湾を見渡せるバーも設けることにしています。
建設資材には軽くてリサイクル可能な樹脂を使い、万博の終了後には特別にデザインされた家具に再利用するなどして、できるだけ廃棄される量を減らしたいとしています。
在大阪スイス領事館のフェリックス・メスナー領事は、「万博では科学に焦点を当てて、スイスが誇るクオリティーの高さや革新技術を来場者に伝えていきたい」と述べました。

【スイス 大阪に拠点新設】
スイスは大阪・関西万博に向けて、おととし、大阪に新たに領事館を置くなど、参加する各国の中でもとりわけ力を入れています。
スイスは2008年に大阪の総領事館を閉鎖しましたが、大阪・関西万博の開催が決まったことを受けて、おととし領事館を開設し、ことし9月には、大阪のメインストリート、御堂筋に面した大阪・北区のオフィスビル1階に新たに領事館をオープンする予定です。
多くの人が行き交う通りに面したショーウインドーには電気自動車やドローンなど万博でのパビリオンの展示内容と連動した最先端の技術を展示する予定です。
スイスには精密機器や製薬、食品などで世界的に有名な企業があるほか、国際的に評価の高い大学や研究機関が集まっています。
また、スイス政府は独自の技術やアイデアをもとに起業するスタートアップへの支援にも力を入れています。
領事館には、こうした企業と日本の企業との橋渡し役となる政府系機関の拠点も設置されていて、すでにスイスのスタートアップを日本に紹介するイベントを開くなど活発に活動していて、万博をきっかけに自国の企業の日本進出を後押しする方針です。
万博では、▽健康な暮らしや▽持続可能な地球環境、そして▽人々のニーズに応じた技術革新をテーマに人工知能など最新技術を展示したいとしています。
在大阪スイス領事館のフェリックス・メスナー領事は、「スイスが技術革新に力を入れている理由は日本と似ています。天然資源がなく、あるのは頭脳だということです。競争力のある日本の人たちにも、スイスの驚く一面を見せることができればと思っています」と話していました。

【各国の準備状況は】
この春から万博の会場でパビリオンの建設がはじまるのを前に、参加する国々は、設計や入札の準備などの手続きを加速させています。
このうち、ヨーロッパのルクセンブルクは、広さ1750平方メートルの敷地に、パビリオンを建てる計画です。
循環型社会をコンセプトに、再利用可能な素材を多く使い、万博終了後も資材として再利用できるようにしたいということです。
展示のテーマは「ドキドキルックス」としていて、デジタル技術を駆使してルクセンブルクの魅力を紹介しドキドキするような展示にしたいとしています。
ルクセンブルクは人口60万余りと、大阪では堺市よりも少ない国で、万博に毎回出展してはいませんが、日本をアジアの中では最も重要な経済パートナーの1つと位置づけ、今回の参加を決めたといいます。
ルクセンブルク貿易投資事務所の松野百合子エグゼクティブ・ディレクターは、「小国であるからこそ万博で国を紹介できるのは非常によい機会だ。ルクセンブルクはどんな国なのか伝えたい」と話していました。
また、南米・ブラジルも、国内で行ったコンペの結果、去年12月、アマゾンの森林で起こる自然現象をイメージし外光を建物の中に多くとり入れるデザインに決めています。

【博覧会協会は】
大阪・関西万博を各国がビジネスの場としても活用する動きを見せていることについて、博覧会協会で各国との調整にあたる櫟真夏 副事務総長は、中東ドバイで開かれた万博では、企業どうしの商談やセミナーも開かれていたと指摘しました。
そのうえで大阪・関西万博についても「さまざまなビジネスの方々が集まってくるわけですから、多様な出会いがその場でセットできる。当然ビジネスの話も含めてマッチングの場になっていくと思う」と述べ、各国の企業どうしが出会い、将来のビジネス展開につながることが期待できるとしています。