大阪 出産翌日に赤ちゃん死亡 クリニック側に賠償命令
6年前(平成29年)に、大阪・都島区のクリニックで産まれた赤ちゃんが翌日に死亡したことをめぐり、両親が分べん方法に問題があったと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、分べん方法に問題はなかったと判断しましたが、「助産師が医師に、状態が悪化した赤ちゃんの症状を伝えず、死亡につながった」として、クリニック側に、5000万円余りの賠償を命じました。
6年前、大阪・都島区の産婦人科のクリニックで、兵庫県尼崎市の高瀬実菜美さん(35)は、麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分べん」の処置を受けたあと、赤ちゃんの頭にカップをつけて引き出す「吸引分べん」で出産しましたが、翌日に赤ちゃんが死亡したため、夫の大地さん(35)とともに吸引が規定の5回を超えて不適切であり、「誤った分べん方法だった」などと訴えを起こしました。
24日の判決で大阪地方裁判所の冨上智子 裁判長は、「吸引は必ず5回までとしなければならないものではなく、処置は適切な時間内に行われた」として分べん方法は不適切ではなかったと判断しました。
一方で、「助産師が赤ちゃんの状態が悪化したときに症状を医師に報告しておらず、医師に報告してしかるべき治療を受けていれば死亡しなかった可能性が高い」と指摘し、クリニック側に5000万円余りの賠償を命じました。
【母親とクリニック側は】
判決のあと、母親の高瀬実菜美さん(35)は、亡くなった柊ちゃんの写真を胸に抱いて取材に応じました。
実菜美さんは、「長い裁判の間、悲しみや悔しさ、怒りの気持ちがありましたが、私たちの主張が一部認められてうれしく思います。新生児の体調が悪くなった時の医師への素早い報告など、態勢づくりを見直して、再発防止に努めてほしいです」と話していました。
一方、クリニック側の代理人の竹村仁 弁護士は「判決内容を精査して、適切に対応します」とコメントしています。