世界初 サイのiPS細胞から生殖細胞を作製 大阪大学など

世界で2頭しかいないサイのiPS細胞から、卵子や精子のもとになる細胞を作り出すことに世界で初めて成功したと大阪大学などの研究グループが発表しました。
グループは新たな子どもを生み出す技術を開発し、種の保存につなげたいとしています。

アフリカに生息する「キタシロサイ」は野生では絶滅し、飼育された状態のみで生存していて、現在はケニアの自然保護区にいるメスの親子2頭を残すだけです。
大阪大学などのグループはマウスのiPS細胞などから卵子や精子の細胞を作る技術をサイに応用するため、培養に適した条件などを検討しました。
手に入りやすい別の種類のサイの細胞を使って培養する際に入れる物質の種類や時間などを変えて実験を繰り返したところ、培養の時間を短くすると卵子や精子のもとになる細胞ができることを発見しました。
グループではこの方法を使って世界で初めてキタシロサイのiPS細胞から卵子などのもとになる細胞を作り出すことに成功したということです。
ケニアの自然保護区には、キタシロサイの精子が凍結保存されているということでグループでは今後、今回作り出した細胞から卵子そのものを作製し、精子と体外受精させたいとしています。
大阪大学大学院医学系研究科の林将文特任研究員は「新たな子どもを生み出す技術の開発につなげ、ほかの動物への応用も目指したい」と話しています。