神戸アイセンター病院 開設から5年記念して講演会

iPS細胞から作った網膜の一部の移植など、目の病気に関する世界初の研究や最新の治療を行う「神戸アイセンター病院」の開設に関わった医師が講演し、来年から患者からの問い合わせ窓口を新たに設置するなど、より多くの人がiPS細胞を使った目の再生医療を受けられるよう、体制の整備を進めていることを明らかにしました。

神戸市の「神戸アイセンター病院」は目の専門病院としてiPS細胞から作った網膜の一部「視細胞」を重い目の病気の患者に移植する世界初の臨床研究など、最先端の治療や研究を行っています。
4日は病院の開設から5年を記念して講演会が開かれました。
このなかで神戸アイセンター病院の栗本康夫 院長は、病院で行ってきたiPS細胞を使った網膜の組織の再生医療について「複数の患者で安全性が確認されたほか、手術に関してもより安全で簡単な技術の開発が進んでいる」と述べ、これまでの成果や現状を報告しました。
また、病院と協力してiPS細胞を使った目の再生医療の開発を進める高橋政代 医師も講演し、「技術はできてきたが、患者にどうやって届けていくかが課題だ」と述べました。
そのうえで、来年から再生医療を希望する患者からの問い合わせ窓口を新たに設置するなど、より多くの人がiPS細胞を使った目の再生医療を受けられるよう、体制の整備を進めていることを明らかにしました。

【神戸アイセンターとは】
神戸市中央区にある「神戸アイセンター」は、市が目指す「医療産業都市」の中核を担う施設として、5年前に市がおよそ40億円をかけて設置しました。
さまざまな目の病気について、▼iPS細胞を使った再生医療など最先端の治療や研究を行う病院や研究施設、▼治療後のリハビリや視覚障害者に情報提供を行う福祉施設などが設けられ、幅広い支援を行っています。
おととし(令和2年)、視力が徐々に低下して失明することもある「網膜色素変性症」という目の病気が進行した患者に、他人のiPS細胞から作った「視細胞」と呼ばれる網膜の細胞を移植する世界で初めての手術が行われました。
同じ手術では、これまですべての患者で拒絶反応などはみられず、安全性が確認されているほか、手術後に視力が回復するなど目の機能が改善した患者もいて、さらに詳しい効果を調べる臨床研究が進められています。