子どもの転落事故 11月 全国で相次ぐ 防ぐには

11月、子どもが住宅から転落して、死亡したとみられる事故が、大阪など全国で相次いでいます。
いま、幼い子どもがいる保護者の間では、不安の声が広がっています。

【豊中 2歳児ベッド乗り落ちたか】
今月(11月)5日、大阪・豊中市長興寺北の集合住宅で4階に住む2歳の男の子が敷地内で倒れているのが見つかり病院に運ばれましたが、頭を強く打つなどしておよそ9時間後に死亡しました。
自宅の部屋の出窓が開いていたことなどから4階から転落したとみられ、出窓の下にはベッドが置かれていたということです。
こうしたことから警察は男の子がベッドに乗った状態で窓から身を乗り出して転落した可能性があるとみて詳しい状況を調べています。

【2歳でも柵よじ登る可能性】
幼い子どもはベランダの柵を1人で登ることができるのか。
産業技術総合研究所は、2歳と4歳、それに6歳の子どもそれぞれ7人ずつがベランダの安全基準として定められている高さ1メートル10センチの柵をどれだけ登れるのか実験を行いました。
まず、2歳児では、足場がないと登ることはできませんでしたが、高さ30センチメートルの足場を置くと、7人中1人だけ登ることができたということです。
この子どもは柵に手をかけて足場に登ると、そのまま手すりに手を伸ばしておよそ15秒ほどで柵を乗り越えました。
次に、足場を置いた同じ条件で4歳の子どもを見てみると、柵の高さは身長より高いものの手すりに手を伸ばしてよじ登り7人中4人が柵を登ることができました。
6歳の子どもは7人全員が登ることができたということです。

【母親たちの声は】
子どものベランダなどからの転落事故について、街の人はどう感じているのでしょうか。
5歳の子どもがいる母親は、「子どもが3歳の頃、子ども部屋で1人で遊んでいて静かだと思ってのぞいたら、窓を開けて、柵をよじ登っていました。子どもはできないと思っていたことも、意外と勝手にやってしまっている」と話していました。
また、4歳と0歳の子どもがいる母親は、「下の子にかまっている間に、上の子に目が行き届かないことがあります。ベランダには物を置かないようにしています」と話していました。
ほかにも、6歳と3歳、0歳の子どもがいる母親は、「子どもにベランダは危険な場所だと言い聞かせています。自分が家にいる時に事故にあうのはいちばん苦しくて悲しいから、気をつけないといけないと思っています」と話していました。

【子ども時代に転落経験の女性は】
子どもの転落事故が各地で相次ぐ中、子どものころ3階から転落した経験がある女性が取材に応じ、「子どもは危険を考えずに行動してしまうので、大人の側が危険を予測して対応する必要がある」と話しました。
茨城県の40代の女性は、小学1年生の時に、放課後、児童館の中にあるらせん階段の手すりにまたがってすべろうとしたところ、誤って3階から地面に転落したということです。
当時の状況について女性は、「運よくお尻から落ちて、大きなけがはなかったですが、命を落としていたかもしれません。まさか落ちるとは思っていなかったので、どこか痛いというよりは、びっくりしたことを覚えています。すぐに大人たちも心配して駆け寄ってきて、怒られると思い、とっさに『2階部分から落ちた』とうそをつきました」と振り返りました。
当時は、小学校の階段で手すりをまたいですべることがはやっていたため、危険性を考えずに遊んでしまったということです。
その後、大人になり、2人の子どもがいますが、子どもが小さい時はベランダにはのぼれるような物を置かず、子どもから目を離さないようにしていたということです。
女性は「子どもは危険を考えずに好奇心で動いてしまう。特に親が見ていないところで何かしようとしたりするので、大人の側が危険を予測して対応する必要がある」と話していました。

【二重ロックに問い合わせ増】
子どもの転落事故が相次ぐ中、注目されているのが二重ロックです。
大阪・生野区の会社では、およそ30年前から外から人が侵入するのを防ぐ防犯グッズとして「補助錠」を販売しています。
しかし、3年ほど前からは子どもや認知症のお年寄りが気づかないうちに外に出ることがないようにしたいといった問い合わせが増えているといいます。
この会社では窓の周りにつける補助錠をおよそ10種類扱っていて、鍵をかけた「つまみ」を外せるものや、子どもが届きにくいように窓の上のほうに取り付けられるものもあります。
ノムラテックの巽祐一郎 常務取締役は、「お住まいの環境を正しく見極めてもらったうえで対策をしてほしいと思います。もちろん、商品を使わなくてもよい世の中になってほしいと思いながら、開発を進めています」と話しました。

【死亡事故は5年で21人】
消費者庁の分析によりますと、平成28年から令和2年までの5年間で建物から転落して亡くなった9歳以下の子どもは21人でした。
年齢別にみると、▼3歳と4歳がそれぞれ5人と最も多く、次いで▼1歳が3人、▼5歳、6歳、7歳がそれぞれ2人、▼2歳と9歳がそれぞれ1人となっています。
事故が起きた場所では、▼最も多いのがベランダで8人、次いで▼窓からの転落が4人などとなっています。
消費者庁は子どもの安全などについて、ことし6月から7月にかけて、15歳以上の男女5000人を対象にインターネットでアンケート調査を行いました。
それによりますと、転落事故の対策として、窓が大きく開かないよう補助錠を付けていたのは1割余りでした。
一方で、半数近くは対策として補助錠を使うことを知らなかったと答えたということです。

【安全基準超の手すり乗り越えることも】
子どもの転落事故が各地で相次いでいますが、最新の調査で、幼い子どもは安全基準を超える高さのベランダの手すりを乗り越えることがわかり、専門家は「ベランダの柵がどんなに高くても転落防止にはならず、子どもをベランダに出さない工夫が重要」と指摘しています。
子どもの事故防止に取り組むNPOなどが去年(2021年)京都府と神奈川県の保育園で3歳から6歳の子ども合わせて116人を対象に実験を行いました。
建築基準法で安全基準として定められている2階以上のベランダの手すりの高さは110センチですが、それを超える120センチから140センチまでの柵を準備し、子どもが足場なしでも乗り越えられるかどうか検証しました。
その結果、▼3歳の6割以上が120センチの柵を乗り越え、▼5歳の7割以上が140センチの柵を乗り越えました。
その時間は、平均でわずか10秒ほどだったということです。
実験を行ったNPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事は、「ベランダの柵がどんなに高くても転落防止にはならない。さらに2歳ぐらいになると自分でいすを持ってきて足場をつくり乗り越えることができる」と指摘しています。
また、大野理事は、「幼い子どもは10秒くらいでベランダの柵を乗り越えてしまうので、ちょっと目を離しただけでも悲しい事故が起こる。子どもには、ベランダや窓は危ないと日頃から言い聞かせること。まだ分別が付かない幼い子もいるので、子どもだけでベランダに出られない工夫が何より重要だ」と指摘しています。