鉄道開業150年 関西各地で記念イベント

日本で鉄道が開業して14日で150年です。
京都鉄道博物館では、車庫から13両のSLなどが先頭部分を少し出して来館者を出迎えています。

京都市下京区にある京都鉄道博物館には、「梅小路機関車庫」と呼ばれる扇のような形をしたSLなどの車庫があります。
大正3年に建てられたもので、現存する国内最古の鉄筋コンクリート造りの機関車庫として、国の重要文化財にも指定されています。
この車庫で、14日、日本で鉄道が開業して150年になるのにあわせ、13両のSLなどが先頭部分を少し出す「頭出し展示」が始まりました。
14日は、鉄道ファンや親子連れなどが多く訪れ、SLが車庫から顔をのぞかせている様子を写真に収めていました。
このほか、敷地内を走るSLには、「鉄道開業150年」と書かれた記念のヘッドマークがつけられ、ムードを高めていました。
横浜市から来た50代の男性は「SLがそろっているのは壮観です。鉄道の日であるきょうの日付が入った入場券も手に入れたのでうれしいです」と話していました。
京都鉄道博物館の前田昌裕 館長は「150年にあわせてさまざまなイベントをしていますので、ふだんとは違う景色を探してもらい、SNSなどでも発信してほしいです」と話していました。
京都鉄道博物館の車庫での「頭出し展示」は、今月(10月)30日まで行われます。

【JR大阪駅でもイベント】
日本で鉄道が開業してから150年を迎えた14日、鉄道の歴史を振り返るパネルや、機関車の模型が展示されるイベントがJR大阪駅で開かれ、多くの人でにぎわっています。
日本で最初の鉄道は1872年(明治5年)の10月14日に新橋・横浜間で開業し、150年を迎えた14日、JR大阪駅で記念のイベントが開催されています。
会場には、かつて国内各地で活躍した蒸気機関車などの写真が入ったパネルが展示され、鉄道の歴史を振り返るコーナーが設けられていました。
また、「デゴイチ」の愛称で親しまれている蒸気機関車「D51形」や、初代の新幹線「0系」などの車両を、およそ10分の1の大きさで再現した模型が展示され、車両と一緒に写真を撮ろうと子ども連れを中心に多くの人でにぎわっていました。
このほか、列車のシンボルとなるヘッドマークなどをデザインした缶バッジを作ることができるワークショップも開かれ、人気を集めていました。
訪れた小学4年生の男の子は「模型の列車のライトが光るところがおもしろかったです。蒸気機関車が気に入りました」と話していました。
このイベントは15日も開かれ、開催時間は午前11時から午後6時までです。

【近江鉄道 利用促進へ】
10月14日は「鉄道の日」。
滋賀県内では、近江鉄道が16日、誰もが全線を1日無料で乗車できるようにするなど利用促進に向けた取り組みを進めています。
10月14日は日本で最初の鉄道が開業した「鉄道の日」で、ことしは開業から150年の記念の年です。
こうしたなか、近江鉄道は10月7日から、「デニムの聖地へ」と書かれたヘッドマークを前方と後方につけた電車を滋賀県内の一部区間で運行しています。
東近江市の八日市にあるデニムメーカーが全国のファンから人気を集めていることにちなんでいて、連携して地域を盛り上げるねらいだということです。
また、近江鉄道の八日市駅では、駅員が週に1回ほどの頻度で、ヘッドマークにもある「デニムの聖地へ」という文字が刺しゅうされたデニムジャケットを着ていて、デニムの聖地としてPRしています。
さらに、16日には、始発から終電まで誰もが全線を無料で乗車できるようにするほか、沿線各地でさまざまなイベントが開かれる予定です。
近江鉄道の広報担当の石原一磨さんは、「近江鉄道に限らず地域の地方鉄道は経営が難しい状況です。そのなかで社会的使命を果たしながら、地域の鉄道として愛されるようさまざまな活動を行っています。ふだん電車に乗らない方もこの機会に利用していただき鉄道を今後の生活の一部としてとりいれてほしいです」と話していました。

【人口減少やコロナで転換】
日本で最初の鉄道は、1872年10月14日に新橋・横浜間で開業し、関西では、それから2年後の1874年に大阪・神戸間で初めて開通しました。
鉄道の利用者は高速化などに伴って増加を続け、大量輸送の時代を支えてきました。
バブル経済の崩壊後、利用者は一度は減少に転じましたが、外国人旅行客の増加などを背景に2018年度には過去最多の延べ252億人を記録しました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって利用者が大幅に減少。
JR西日本や私鉄各社が大規模な減便に踏み切ったり、列車の編成を短くしたりするなど、都市部でも需要減少に合わせた運行の適正化を余儀なくされています。
さらに、人口減少などを背景に採算が厳しくなっていた地方路線は、新型コロナによって状況がさらに悪化しました。
こうした中、JR西日本はことし4月、利用者が特に少なくなっている地方路線について、線区ごとの収支の状況を初めて公表し、今後のあり方の議論について沿線自治体などとの議論を進める意向を示しています。
人々の生活を支えてきた鉄道も、人口減少や新型コロナの影響によって大きな転換点を迎えています。