新型コロナ水際対策大幅緩和 関西の観光地から期待の声

新型コロナウイルスの水際対策が11日から大幅に緩和されました。
入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、制限は、ほぼ、コロナ禍前の状態に戻り、関西空港では、関西の経済団体などが海外から到着した人たちを歓迎しました。

政府は、11日から、1日あたり5万人としていた入国者数の上限を撤廃するとともに、ツアー以外の個人の外国人旅行客もおよそ2年半ぶりに入国を解禁し、アメリカ、韓国、イギリスなど、68の国や地域から観光などで訪れる短期滞在者のビザを免除する措置が再開されました。
また、すべての入国者に対し、発熱など感染が疑われる症状がなければ入国時の検査は行わず、入国後の自宅などでの待機も求めないことになり、制限は、ほぼ、コロナ禍前の状態に戻ることになりました。
ただ、3回のワクチン接種を済ませたことの証明書か、滞在先の出発前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提示を求める措置は今後も継続されます。
関西空港では、関西の自治体や経済団体などが、横断幕を掲げたり、記念品を配ったりして、海外から到着した人たちを歓迎しました。
アメリカから来た男性(44)は「韓国に行く予定だったが、きょうが日本が開かれた最初の日ということで、予定を変更して日本に来ました。初めての来日で、大阪や京都、東京を訪れて日本の文化や暮らしを知りたい」と話していました。
ベトナムから来たイギリス人の男性(35)は「ずっと日本に来たいと思っていて、この2年間で、願いがかなうのが遅くなったが、ようやく来られた。大阪と京都に1週間滞在し、ラーメンや刺身など本当の日本食を食べるのが楽しみです」と話していました。
韓国から来た女性(24)は「ビザがいらなくなったのできょう来ました。5日間滞在し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったり、すしやすき焼きを食べるのが楽しみです」と話していました。
関西の自治体や経済団体などでつくる関西観光本部の東野祥策 総合企画室長は「きょうは待ちに待った記念すべき日です。インバウンドは関西経済の屋台骨で、今後、ますますの関西の経済を支えるお客さんの来日を期待している」と話していました。

【航空各社が増便へ】
関西空港の国際線旅客数は、ことし6月の外国人旅行客の受け入れ再開以降、大幅に増加し、8月にはおよそ14万5400人が利用しました。
一方、これは感染拡大前の3年前(2019年)の同じ月と比べて6.5%程度にとどまっています。
今回の水際対策の緩和により、今後、航空需要の急回復が期待されることから、航空各社は、関西空港を発着する国際線の増便を予定しています。
このうち、▼韓国のエアプサンは、ソウルとを結ぶ便を週に6便から14便に、プサン(釜山)とを結ぶ便を8便から14便に、それぞれ今月(10月)から増便する予定のほか、▼関西空港を拠点とするLCCのピーチ・アビエーションは、ことし12月から新たにタイのバンコクとを結ぶ定期便の就航を決めるなど、航空各社は海外旅行の需要を取り込みたい考えです。

【奈良 外国語ガイドは期待感】
新型コロナの水際対策が11日から大幅に緩和され、個人の外国人旅行客の入国が解禁されました。
コロナ禍前から奈良市内の観光名所で外国語での案内に取り組んできたボランティアの団体は、多くの観光客を迎え入れることに期待を寄せています。
水際対策の大幅な緩和で、11日から、ツアー以外の個人の外国人旅行客もおよそ2年半ぶりに入国が解禁されました。
奈良市で2007年から英語・中国語・韓国語での観光案内に取り組んできたボランティアの団体は、この2年半のあいだ、月に2回ほど研修会を開いたり、市内の観光名所で日本人にガイドを行ったりして、スキルの維持に取り組んできました。
団体に所属するガイドらは、11日も興福寺の境内で行き交う人たちに声をかけ、国宝・五重塔の構造や歴史などについて説明していました。
アメリカから夫婦で来日し、ガイドの説明を受けた男性は、「初めて日本を訪れたが、ガイドの知識も豊富で英語もすばらしかったので、感謝しています」と話していました。
団体の理事長を務める池田常雄さんは、「コロナ禍ではガイドの機会が激減したが、研修や日本人向けのガイド経験で、観光案内のしかたを忘れないようにしてきた。これからたくさんの外国人観光客をお迎えし、日本を好きになってほしい」と話していました。

【奈良 準備進めるゲストハウス】
水際対策の緩和による外国人観光客の増加を見据えて、奈良県桜井市にあるゲストハウスは、集客に向けた準備を急ピッチで進めています。
JRと近鉄の桜井駅の近くにあるゲストハウスは、築およそ200年の古民家を改装したものです。
「和」のテイストにこだわった部屋が売りで、外国人観光客をターゲットにおととし(2020年)7月、オープンしましたが、新型コロナの水際対策の影響でこれまで外国人観光客が宿泊したことはないということです。
水際対策の緩和による外国人観光客の増加を見据えて、施設では、外国人の利用が多い旅行予約サイトに登録したり、周囲の寺や神社を気軽に巡れるようにレンタサイクルを導入したりしました。
いまは英語でもホームページを表示できるような準備を急ピッチで進めているということで、オープン後ずっと続いていた外国人観光客の宿泊ゼロにピリオドを打ちたい考えです。
オーナーの岡本健さんは、「コロナの影響で外国人が利用できない中、ここまでなんとかやってきた。これから来る外国人の客には、この施設を拠点に昔ながらの奈良の建物や観光を楽しんでもらいたい」と話していました。

【京都 伝統工芸の体験施設では】
11日から水際対策の緩和が始まりました。
京都市内の外国人向けの伝統工芸の体験施設では感染対策を整え、コロナ前、年間10万人が訪れていたという外国人観光客の復活に期待を寄せています。
海外の人に伝統工芸を知ってもらおうと、55年前(1967年)に開業した京都市左京区の体験施設では、コロナ前、年間10万人ほどだった外国人観光客が感染拡大でゼロになり、工芸品のネット販売などで事業の多角化を図ってきましたが、苦しい運営が続いていました。
施設ではこの間、マスクの着用を促したり、対面にならないように、間隔を空けて座ってもらったりするなどの感染対策の準備を進め、外国人観光客も少しずつ増えてきているということです。
6日、扇子の絵付けを体験したアメリカ人観光客の団体は、全員、マスクを着用し、集中した様子で、白い和紙の部分に思い思いの絵を描いていました。
初めて京都を訪れたという女性は、「自然と都市が一体化していて魅力的な街です。マスクはアメリカでは外している人も多いですが、着用したほうが安心できます」と話していました。
施設を運営する会社の網田知邦 社長は、「ようやく本格的にお客様を迎えられると、従業員の意欲も高まっています。来月以降、予約も入ってきているので、感染対策をきっちりしながら安心して楽しんでもらえるようがんばります」と話していました。

【京都市観光サイトに外国語も】
水際対策の緩和による外国人観光客の増加を見据えて、京都市は観光地の混雑の度合いを示したウェブサイトに英語や中国語の表記も加えるなど受け入れに向けた準備を進めています。
京都市では、訪れた人に混雑を避けながら観光を楽しんでもらい、新型コロナ対策にもつなげようと、右京区の嵐山の渡月橋や東山区の清水坂周辺など観光地11か所について、混雑の度合いの予測を5段階で示した地図をインターネット上で公開しています。
京都市は11日からの水際対策の緩和で外国人観光客が増加することを見据えて、今月(10月)6日からこのサイトに英語と中国語の表記も加えました。
このサイトからはライブカメラによる各地の様子の映像を見ることもでき、外国人観光客に人気のある祇園の花見小路も追加したということです。
このほかにも、外国人観光客に向けた別のサイトには、滞在中に新型コロナの症状が出た場合、多言語で24時間相談できる電話窓口のほか、公共交通機関の利用のしかたや寺や神社を訪れる際のマナーなどの情報を掲載していて、市は利用を呼びかけています。

【京都市長“ぜひお越しを”】
新型コロナの水際対策の緩和や「全国旅行支援」の開始について、京都市の門川市長は「歓迎申し上げる。感染防止と観光はじめ社会経済の両立に全力を尽くしていきたい」と話しました。
門川市長は「長引くコロナ禍のもとで大好きな京都に行きたくても行けないという声を国内外から多く聞いてきた。ようやくコロナが落ち着いてきたいま、感染防止と文化、観光が大事な時。京都で市民ぐるみでおもてなしをさせていただくので、国内外からぜひお越しいただきたい」と呼びかけました。
そのうえで、コロナ以前に大きな課題となっていた、観光客の集中による混雑やマナーといった問題にも触れ、「この2年半で市民、観光事業者、行政が一丸となり、課題解決のために取り組みを進めてきた。マナーの呼びかけや、ビッグデータを活用した混雑予測の情報発信などを通じコロナ前の観光に戻さず、課題を解決して持続可能な観光にしていく」と話しました。

【専門家“緩和するにはいい時期”】
新型コロナの水際対策が緩和されたことについて、感染症に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授は、「今は海外のほうが数字上、国内より感染者が少ない状況で水際対策を緩和するにはいい時期だと思う。海外から訪れる人が増えても感染拡大への影響がそれほど大きいとは思えず、国内の旅行者が増えるのとあまり変わらないのではないか。ただ、今後、海外で新しい変異株が見つかるなど状況の変化に応じて水際対策を強化するなど対応を変えていく必要がある」と指摘しています。
また、旅行客などを受け入れるにあたり、考え方を転換する必要もあるとして、「日本を訪れた人たちが感染しないよう、これから外国人観光客を受け入れる観光地や宿泊施設などでは換気など感染防止策を改めて徹底していく必要がある」と話しています。