新型コロナ全数把握簡略化で大阪府フォローアップセンター設置

新型コロナ感染者の全数把握を簡略化し、詳しい報告の対象を重症化リスクが高い人に限定する運用が、26日から全国一律で始まりました。
大阪府は、対象から外れる人のために、「健康フォローアップセンター」を設けて対応しています。

新型コロナ対応にあたる医療機関などの負担を減らすため感染者の報告を簡略化した運用が26日から全国一律で始まり、詳しい報告の対象は、▼65歳以上の高齢者や、▼妊婦、それに▼入院が必要な人など、重症化リスクの高い人に限定されました。
これを受けて、大阪府は、詳しい報告を求める対象から外れる人のために、26日から「健康フォローアップセンター」を設けて対応しています。
センターでは、医師の診察を希望する人に外来やオンライン診療などの案内を行うほか、オンラインで登録をしたうえで、簡易的な配食サービスなどの申し込みや、宿泊療養施設への入所の相談ができるということです。
一方、府によりますと、自分で検査を行って陽性が確認されても、登録を行わない人がいるとみられることから、府が公表している1日あたりの新規感染者数は、全数把握の簡略化が反映される27日以降減少する可能性もあるということです。

【診療所“遠慮せず受診を”】
新型コロナウイルスの感染者の詳しい報告の対象が重症化リスクの高い人に限定される形で簡略化されたことについて、大阪市内のクリニックでは「詳しい報告の対象外となる人でも症状が悪化するケースはあるのでコロナかもしれないと体調に不安を感じたら遠慮せずに受診してほしい」と呼びかけています。
大阪・中央区で新型コロナの発熱外来を開設している「小畠クリニック」には、多いときで一日20人の患者が訪れていて、これまでは診療が終わったあとに1時間ほどかけて患者の情報を専用のシステムに入力し、保健所に報告していました。
入力する情報は患者の名前や発症日、基礎疾患の有無など多岐にわたり患者1人分を入力するのに5分程度かかっていたということです。
26日から感染者の全数把握が全国一律で見直され、詳しい報告の対象が重症化リスクの高い人に限定されたことで、入力作業の負担は大幅に軽減されました。
このクリニックでは先週、陽性となった患者が10人いましたが、今回の見直しで詳しい報告の対象となるのはこのうち3人にとどまるということです。
クリニックの小畠昭重 院長は、今後、詳しい報告の対象外の人への対応が課題となるとして、「対象外となる人でも症状が悪化するケースはあるので、医療機関や行政にはこうした人が不安を感じないよう丁寧な対応が求められる。発熱などの症状があり、コロナかもしれないと体調に不安を感じたら遠慮せずに医療機関を受診してほしい。われわれ医師が責任をもってフォローしたい」と呼びかけていました。

【対象外になった人は?】
今回の見直しによって、詳しい報告を求める対象から外れた人たちが感染した際の対応は、どう変わるのでしょうか。
<「コロナかも」と思ったら>
大阪府は、医療のひっ迫を防ぐため、症状が軽い人などは、検査キットを使って、自分で検査するよう呼びかけています。
検査キットは、薬局などで購入できるほか、28日からはホームページを通じて、府の「検査キット配布センター」に申し込むと、1日から2日程度で、無料で、自宅に検査キットが届けられます。
また、希望する場合は、これまでと同様に医療機関で検査を受けることもできます。
<検査で陽性になったら>
検査キットなどで陽性が確認された場合、ホームページなどを通じて、府の「健康フォローアップセンター」にある「陽性者登録センター」に登録すると、感染の証明となる「陽性者番号」を受け取ることができます。
登録には、名前や性別、電話番号のほか、陽性の判定が出た検査キットの写真などが必要になります。
<医療機関を受診したい>
自宅療養中に症状が悪化するなどして、医療機関を受診したい場合は、「自宅待機SOS」に電話すると、外来や往診、それにオンライン診療の案内を受けることができます。
「自宅待機SOS」の電話番号は、0570−055221で、24時間、受け付けているということです。
また、かかりつけ医がいる場合などは、直接、医療機関に連絡してもよいということです。
<府の支援を受けたい>
府からの支援を受けたい場合は、「陽性者登録センター」に登録したうえで、「自宅待機SOS」に電話をすると、▼簡易的な配食サービスなどの申し込みや、▼宿泊療養施設への入所の相談ができるということです。
ただ、症状がない人などは、マスクの着用など感染対策を徹底すれば、買い物などの外出が認められていることなどから、配食サービスの利用はできないということです。
【専門家“対象外の対応を”】
今回の見直しについて、関西福祉大学の勝田吉彰教授は詳しい報告の対象から外れた人が症状を悪化させた場合、迅速に医療につなげられるかが課題になると指摘しています。
対象から外れた人は、ホームページなどを通じて自治体が設けた健康フォローアップセンターに自分で登録する必要があります。
勝田教授は、「対象外となった重症化のリスクが高くない人の中でも症状が悪化する人は一定の割合で出てしまうので、そうした人たちをきちんとすくい上げる必要がある。これまでのように医療機関や保健所に連絡しても電話がなかなかつながらないと治療が遅れかねないので、この点は改善すべきだ」と指摘しました。
さらに、詳しい報告の対象外となった人が自分で登録を行うという仕組みについては「登録が自由であるというメッセージとして受け止められかねないのではと心配している。登録していない人の症状が悪化した場合、これまでとは違って保健所や医療機関は詳しい情報がない中で対応を始めなければならなくなるので、治療の開始が遅れるおそれがある。治療が遅れると、重症化したり救急搬送されたりする患者が増え、医療体制のひっ迫にもつながってしまう。どの医療機関でも新型コロナの患者を診られる体制を一刻も早く整えてほしい」と話していました。

【大阪知事“陽性者は登録を”】
大阪府の吉村知事は記者団に対し「オミクロン株の特性を考えると全数把握は現実的ではなく、重症化のリスクの高い人への支援をより強化していくべきだ」と述べました。
そのうえで、詳しい報告を求める対象から外れた人への対応について、「症状が軽い人でも容体が悪くなる可能性がある。『陽性者登録センター』に登録してもらえれば、医療機関の紹介などがしやすくなるので、できるだけ多くの人に登録をお願いしたい」と呼びかけました。