新型コロナ水際対策緩和 関西空港で歓迎の声 効果疑問視も

新型コロナウイルスの水際対策について、政府は、すべての入国者に求めていた陰性証明書の提出を条件付きで免除するなど7日から緩和しました。
関西空港に到着した利用客からは、歓迎する声が聞かれました。

政府は、7日から、▼日本人を含むすべての人に求めてきた陰性証明書の提出を、3回目のワクチン接種を条件に免除するとともに、▼一日あたりの入国者数の上限をこれまでの2万人から5万人に引き上げるなど新型コロナの水際対策を緩和しました。
関西空港には7日午前、ベトナムやアメリカ、韓国などからの便が到着し、利用客からは緩和を歓迎する声が聞かれました。
ベトナムからの出張帰りだという33歳の会社員の男性は「きょうから陰性証明がいらなくなると聞き、帰国日をきょうにしました。コロナ禍でも何度か海外出張していましたが、3回目の接種を済ませていたので、これまでよりもスムーズに入国手続きができました。陰性証明がいらなくなるので、帰国後の仕事のスケジュールもたてやすくなりました」と話していました。
京都の大学へ留学するために来日したタイ人の21歳の女性は「きょうから水際制限が緩和されるので、留学の日をきょうにしました。日本語の勉強をします」と話していました。
また、グアムに旅行していたという42歳の男性は「煩雑な手続きはなく、普通に行って帰ってこられたので、コロナ前と変わらない海外旅行だったという印象です。海外では誰もマスクをつけていませんでした」と話していました。
今回の緩和では、観光目的の外国人の入国について、すべての国を対象に添乗員を伴わないツアーが認められ、外国人観光客の増加も期待されています。

【旅行会社はさらなる緩和に期待】
7日から新型コロナの水際対策が緩和され、外国人観光客の入国について、すべての国を対象に添乗員を伴わないツアーも認めることにしています。
外国人観光客を専門に受け入れてきた大阪の旅行会社は歓迎する一方でさらなる緩和に期待を寄せています。
政府は7日から水際対策を緩和し、外国人観光客の入国については、すべての国を対象に、添乗員を伴わないツアーも認めることにしています。
外国人観光客を専門に受け入れてきた、大阪・中央区の旅行会社「フリープラス」も今回の緩和を歓迎しています。
この会社では、感染拡大の前までは、年間およそ18万人の外国人客を受け入れ、300人以上の従業員を雇用していました。
しかし、この2年間は外国人客の訪問が厳しく制限されたため、事業を大幅に縮小せざるをえず、従業員の9割以上は退職し、オフィスも家賃が10分の1以下の場所へ移転しました。
ことし6月に外国人観光客の受け入れが再開されましたが、添乗員の同行が義務づけられたことなどから、この会社がこれまでに受け入れたのはタイやフィリピン、インドネシアなどからのツアー客、およそ100人にとどまります。
会社の中林凛太郎 マネージャーは「6月以降、徐々にお客さんが増えてきて、今回の緩和によってより多くのお客さんの来日が期待できるがまだまだ道半ば。感染拡大前の0.1%程度しか業績も回復していない」と話していました。
今回の緩和でも旅行会社が航空券や宿泊先を手配することが条件ですが、添乗員の同行は不要になり、日中に訪れる観光地や食事をする場所は客が自由に決めることができます。
感染防止対策の説明や感染者が出た場合の対応などは添乗員に代わって旅行会社が電話やメールで行います。
緩和策の発表を受けて、中林さんの会社には、来日予定の外国人客から費用を抑えるため、「添乗員が不要になったのならつけないでほしい」といった問い合わせが寄せられていて、中林さんは日本を訪れたいという根強い需要を感じています。
ただ、今回の緩和でも一日の入国者数には5万人という上限が設けられていることや、すべての外国人観光客に対して引き続き観光ビザの取得が義務づけられていることから当面、大幅な回復は望めないということです。
中林さんは「円安というかき入れ時なのに、個人旅行が認められなければ来日しづらい状況が続くので、早く個人旅行を認め、ビザを不要にしてほしい」としてさらなる緩和が必要だと話していました。

【水際対策緩和も京都では不安視】
7日から新型コロナの水際対策が緩和されましたが、個人旅行が引き続き認められていないことから、観光都市・京都のゲストハウスでは、緩和によって客が増えるか疑問の声が聞かれました。
政府は7日から水際対策を緩和し、外国人観光客の入国については、旅行会社が航空券や宿泊先を手配することを条件に、すべての国を対象に添乗員を伴わないツアーも認めることにしています。
ただ、個人旅行が引き続き認められず、観光ビザの取得も義務づけられていることから、観光都市・京都では宿泊客の増加につながるのか疑問の声も出ています。
このうち京都市下京区のゲストハウスには、紅葉シーズンで人気の来月(10月)と再来月(11月)、水際対策の緩和を予想して個人旅行を予定していた外国人を中心に10件以上の予約が入っていました。
しかし、今回の緩和が限定的だったことから、半分がすでにキャンセルになり、厳しい経営状況が続くことになりました。
ゲストハウスの野上嘉之さんは、「旅行代理店を通した予約しかできない現状では正直、今回の緩和にもメリットはありません。小さな宿泊施設は限界がきていて、いつまで待てばいいのかと残念に思います」と話していました。

【感染症の専門家は】
新型コロナの水際対策について、7日から一日あたりの入国者数の上限が5万人に引き上げられるなど緩和されます。
感染症対策の専門家は、「日本国内で感染が拡大している中、国外からの持ち込みを制限しても意味がない」と指摘しています。
政府は7日から新型コロナの水際対策を緩和し、▼一日あたりの入国者数の上限を2万人から5万人に引き上げ、▼日本人を含むすべての入国者に求めている陰性証明書の提出についても、3回目のワクチン接種を済ませていることを条件に免除します。
感染症対策に詳しい神戸大学大学院の岩田健太郎 教授は、日本の水際対策について、「2020年の日本の中にコロナウイルスがほとんど存在しなかった状況下では、入国を厳しく制限するのは価値があった」としています。
一方で、現在の水際対策について、「一日に何十万人の感染者が確認されるほど国内で感染が流行しているいま、国外からの新型コロナの流入を止めても大勢に影響がない」という見方を示しました。
そのうえで、感染の第7波では、政府による行動制限が示されていないことを踏まえ「もし水際対策をやるのなら、国内でも感染を抑え込むというのが伴わなければ意味がない。国内の感染は抑え込まないけど、外からの持ち込みは許さないというのはナンセンスで、理にかなっていない」と指摘しています。