安倍氏葬儀 “半旗を” 大阪 吹田・富田林の市教委が通知

銃で撃たれて死亡した安倍元総理大臣の7月の葬儀の際、大阪・吹田市と富田林市の教育委員会が市内の小中学校に対し、弔意を示す半旗を掲げるよう通知していたことがわかりました。
教育行政の専門家は「教育に求められる政治的中立に反する行為だ。9月に行われる国葬でも通知は行うべきではない」などと指摘しています。

安倍元総理大臣は奈良市内で街頭演説をしていた際に銃で撃たれて死亡し、7月12日に都内で家族などで葬儀が行われ、9月27日には東京の日本武道館で「国葬」が行われます。
NHKが7月の葬儀の際の対応について大阪府内の市町村の教育委員会に取材したところ、吹田市教育委員会が、葬儀当日の朝に市内の54の小中学校に対し、国旗などについて、弔意を表す半旗を掲げるよう、通知していたことがわかりました。
また、富田林市教育委員会も市内の小中学校に対し、同様の通知を出していて、実際に半旗を掲げた小中学校がありました。
一方、2つの市以外の41の自治体の教育委員会は学校への通知は行っていませんでした。
吹田市内の教員らでつくる組合は「半旗の掲揚は政治的活動を禁じている教育基本法に触れるおそれがあり厳重に抗議する」などとする要請書を提出したということです。
吹田市教育委員会は「市から公共施設に掲揚するよう通知があり対応した。教育上問題だったかは検討していない」としています。
また、富田林市教育委員会は「学校現場に混乱を招いた事は認識しており、今後は教育基本法に基づいて適切に対応を検討する」としています。
教育行政などに詳しい名古屋大学の中嶋哲彦名誉教授は「政治や行政にはさまざまな意見があるのに、学校で半旗が掲げられれば、子どもたちに特別で賞賛すべきというメッセージになってしまう。半旗の掲揚を通知することは学校の政治的中立に反する行為だ」と指摘し、9月の国葬でも通知は行うべきではないとしています。

【“弔意強制おかしい” 対応を疑問視の教員も】。
大阪・吹田市教育委員会が市立小中学校、あわせて54校に半旗を掲げるように通知していたことについて、市内の小学校の教員からは「思想・信条の自由があり、学校現場で弔意を強制するのはおかしいのではないか」などと対応を疑問視する声が上がりました。
吹田市内の小学校に勤務する40代の教員の男性によりますと、市の教育委員会から通知が出されたことについて、校長や管理職からは説明がなかったということで、「通知のことを知って理由を尋ねましたが、説明はありませんでした。学校でいつもと旗の状態が違えば子どもからも疑問が出ますし、それに教員が答えられない状態なのはおかしいと思います」と話していました。
そのうえで、「悲しむ気持ちがあることは当然ですが、思想・信条の自由に関わることを強制するのはおかしいのではないでしょうか。教育委員会は教育現場に関わる人たちの集まりのはずで、市から言われたことをそのままやるのではなく、よく考えて判断してほしかったです」と対応を疑問視していました。
来月(9月)行われる安倍元総理大臣の国葬については、「今回の半旗掲揚についてもこれだけ議論になっている状況なので、また同じような判断が繰り返されることは避けてほしいと思います」と話していました。

【半旗掲揚を求められた学校は】。
NHKは、市の教育委員会から弔意を示す半旗を掲げるよう通知を受けた吹田市と富田林市の市立の小中学校78校すべてに取材しました。
その結果、「答えられない」とか「責任者がいない」といった理由で回答が得られないケースがあった一方、吹田市と富田林市のいずれでも複数の学校で実際に半旗を掲げていたことがわかりました。
半旗を掲げた学校の多くは理由について「通知に従って対応した」と答えました。
このほか、NHKの取材に応じた富田林市内の小学校の校長の1人は「さまざまな立場の人から意見があるため、われわれは根拠がないと動けない。通知を受け取った際、問題になる気がしたが、通知に従わないと『なぜやらないのか』と説明責任を問われる」と話し、難しい立場にあることを明かしました。
また、吹田市内の小学校の教頭の1人は「通知に従って公立の施設として半旗を掲げただけだ。子どもたちに対する教育的な意味合いはなく、弔意の強制にはあたらないと思っている」と話しました。
一方、半旗を掲げなかったと回答した学校からはその理由として「雨が降っていたため、行わなかった」とか、「通知を見逃していた」といった話が聞かれました。

【国葬での対応は 大阪府内の教委“まだ決まらず”】。
銃で撃たれて死亡した安倍元総理大臣の来月(9月)の国葬の際、小中学校に弔意を表す半旗を掲げるよう通知するかどうかを大阪府内の教育委員会にNHKが取材したところ、いずれもまだ決まっていないと回答し、25日までの時点で対応が決まっている教育委員会はありませんでした。
安倍元総理大臣の「国葬」は、来月(9月)27日東京の日本武道館で行われます。
この際、小中学校に対して弔意を表す半旗を掲げるよう通知するかなどの対応についてNHKは、25日までに、大阪府と、府内の43の市町村の教育委員会に取材しました。
それによりますと、いずれも「未定」か「国からの通知があれば検討する」などと回答し、対応が決まっている教育委員会はありませんでした。
大阪府教育庁は、「今のところ国からの通知は無いので、対応は検討していない」としています。
政府は、国民に弔意を強制していると誤解が生じるのは避けたいとして、弔旗の掲揚や黙とうなどを各府省に求める閣議了解を見送ることになり、地方自治体や教育委員会などの関係機関にも弔意表明の協力は求めない方針です。

【国葬での対応 奈良県と県内12市教委は】。
銃で撃たれて死亡した安倍元総理大臣の来月(9月)の国葬の際に、小中学校に弔意を示す半旗を掲げるよう通知するか、奈良県と県内12市の教育委員会に取材したところ、25日までの時点で、大和高田市と香芝市、宇陀市の3つの市は、学校側に半旗掲揚などの対応は求めないと回答しました。
安倍元総理大臣の「国葬」は来月(9月)27日に東京の日本武道館で行われます。
この際、小中学校に弔意を示す半旗を掲げるよう通知するかなどについて、25日までに、奈良県と県内12市の教育委員会に取材したところ、大和高田市と香芝市、宇陀市の3つの市は、学校側に対応は求めないと答えました。
その理由について、大和高田市教育委員会は「特定の個人について、強制のような形を取るのはなじまないだろうと判断したため」としています。
このほか奈良市や橿原市、生駒市など9つの市の教育委員会は、いずれも「未定」か「国からの通知があれば検討する」などと回答し、現段階の対応は決まっていませんでした。
奈良県教育委員会は、県立の学校や市町村の教育委員会へ半旗の掲揚などを求めるよう通知するかどうかについては、「国の方針次第」としていて、現時点では未定ということです。
政府は、国民に弔意を強制していると誤解が生じるのは避けたいとして、弔旗の掲揚や黙とうなどを各府省に求める閣議了解を見送ることになり、地方自治体や教育委員会などの関係機関にも弔意表明の協力は求めない方針です。