大阪 高齢者施設 陽性の入居者を陽性の職員が介護する事態も

新型コロナの感染が拡大し介護の担い手にも感染が広がる中、高齢者施設では感染した陽性の職員が陽性の入居者の介護を担う事態も起きています。

このうち、大阪府の老人ホームでは今月(8月)初めから施設内で感染の確認が相次ぎ、これまでに、▼入居する41人の高齢者のうち19人が陽性となり、▼介護を担う職員も12人のうち5人が陽性となりました。
入居者を感染の有無で2つのグループに分けて、見守りや食事の介助を行わなければならず、残ったスタッフが11日連続で勤務するなどお盆の予定を返上して休日出勤や残業で対応しましたが、入浴の回数を減らすなどサービスの内容も減らさざるをえなかったということです。
人手がない中、陽性の職員2人からコロナの症状がおさまったので働けるという申し出があったということで、同じく陽性の高齢者の介護を担ってもらう、いわゆる「陽陽介護」の状態になったということです。
匿名を条件に取材に応じたこの施設の副施設長は、「陰性の人と陽性の人を分けて対応することに非常に人手がかかる中で働ける職員が減っていき、陽性者に陽性者をみてもらうことがどうしても必要になった。10日間ゆっくり静養してもらいたいという思いもあったが、なかなか回らない状況もあって本当に申し訳ないという気持ちだった」と話しています。

【施設を見た医師は】。
高齢者施設の往診を行っている河内長野市の水野宅郎医師は、いわゆる「陽陽介護」について、「病気の人が病気の人をみることになり、陽性の介護者の負担が大きくなるので、本来はよくないと思います。一度かかると療養期間も10日間とあまりに長いので、施設の人手が回らなくなることが多い。感染すると隔離が必要となるいまの方法を続けるのは限界があるのではないか」と話しています。