関電前会長ら3人「起訴すべき」議決 役員報酬補てん問題など

関西電力の旧経営幹部らが、業績悪化でカットした役員報酬を補てんしていた問題などをめぐり、不起訴になった八木 前会長ら3人について、検察審査会は「起訴すべきだ」と議決しました。
これを受けて大阪地検特捜部は再び捜査を行い、起訴するかどうか改めて判断することになります。

関西電力の八木誠 前会長(72)や岩根茂樹 元社長(69)ら、旧経営幹部は、原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取った問題で、元助役の関連企業に工事費を水増しして発注し会社に損害を与えたなどとして、市民らから特別背任などの疑いで刑事告発されました。
大阪地検特捜部は去年11月、業績悪化でカットした役員報酬を補てんしていた問題などもあわせ、告発された9人全員を嫌疑不十分で不起訴にしたため、市民らがことし1月、不起訴は不当だとして検察審査会に審査を申し立てていました。
その結果、大阪第2検察審査会は、役員報酬を補てんした問題について、八木前会長と森詳介 元相談役(81)に対して、「公共性の高い企業のトップの地位にあったのに、みずからや身内だけにひそかに利益を図っており強い非難に値する。会社に損害が生じたことは明白だ」として「起訴すべきだ」と議決しました。
また、高浜町の元助役から金品を受け取った役員が、後に修正申告して納税した分を会社が補てんした問題についても、「横領行為と認められる」として八木前会長と森元相談役、それに岩根元社長を「起訴すべきだ」と議決しました。
一方、このほかの6人も含め、多額の金品を受け取った問題などについては、「一部の役職員が不適切な工事発注に関与し利益の一部の還流を受けていたことは電気利用者などへの裏切り行為であり強い非難に値する。検察は強制捜査を行っておらず旧経営幹部らへの事情聴取も十分だったか疑問だ」などと指摘して、いずれも「不起訴不当」と議決しました。
これを受けて、特捜部は再捜査を行い、改めて、起訴するかどうか判断することになります。

【市民らの代理人“痛烈な批判”】。
告発した市民らの代理人の河合弘之 弁護士は、オンラインで会見を行い、「今回の検察審査会の議決は、大阪地検の『手心捜査』と『手心不起訴』に対する市民感覚による痛烈な批判だ。健全な市民感覚が働いた締まりがよい議決だと思います」と話していました。
そのうえで、「検察はこれまで、旧経営幹部らが任意捜査に応じていて十分な証拠があるということで強制捜査が必要ないという判断をしていました。これは、容疑者側が隠しているかもしれないという市民の疑惑や疑問に全く答えることのない的外れな言い分だと思う」と指摘し、今後、検察が強制捜査を行うべきだと訴えていました。

【専門家“大きくメス”】。
不起訴になった関西電力の前会長ら3人を検察審査会が「起訴すべきだ」と議決したことについて、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸 教授は「関西電力という公益性の高い企業の旧経営幹部らが一般国民の電気料金を懐に入れているという大きな構図のもとでいままで刑事責任が問われていないのは問題だったが、今回、問題に大きくメスを入れた。刑事責任を公判で問うために金の流れが明確で立証のしやすい役員報酬の補てんなどが起訴すべきとする対象となったのだと思う」と評価しました。
そのうえで「今回の議決で突っ込んだ捜査が求められるべきだったことが明らかになった。検察は、今後、検察審査会から不起訴の判断を否定されたことを踏まえて、犯罪を立証できるか判断するための証拠をそろえる捜査が求められる」と指摘しました。

【検察“所要捜査へ”】。
検察審査会の議決について、大阪地検特捜部の伊吹栄治 部長は「議決の内容を精査し、所要の捜査を行ったうえで、適切に対処したい」とコメントしています。
検察が不起訴にした事件について、一般の市民で構成する検察審査会が2度、「起訴すべき」と議決すると、強制的に起訴されます。
八木誠前会長(72)と、岩根茂樹元社長(69)、それに、森詳介元相談役(81)は、今回、「起訴すべきだ」と議決されたため、再捜査の結果、検察が改めて不起訴にしても、検察審査会が再び「起訴すべきだ」と2度目の議決をした場合は、検察官役の指定弁護士が3人を強制的に起訴することになります。

【関電“答える立場にない”】。
関西電力による旧経営幹部らが業績悪化でカットした役員報酬を補てんしていた問題などをめぐり、不起訴になった八木前会長ら3人に対して、検察審査会は「起訴すべきだ」などと決議しました。
これについて関西電力は、今回の検察審査会の判断に関わる立場にないとしたうえで、「当社は当事者ではなくお答えする立場にない。当社としては引き続き業務改善計画の施策を着実に実行していく」とするコメントを出しました。