株主総会 JR西黒字転換へ決意 フジテックは社長再任案撤回

関西の多くの上場企業で23日、株主総会が開かれました。
ことしはいわゆる「物言う株主」からの要求も目立っています。

【JR西 黒字転換目指す決意】。
新型コロナウイルスの影響で2年連続の赤字となったJR西日本の株主総会が開かれました。
この中で、会社側は利用客の回復に加えてコスト削減なども進めて、今年度(2022年度)の決算では黒字転換を目指す決意を示しました。
JR西日本は新型コロナの感染拡大に伴う鉄道の利用者の減少などで昨年度の決算が1131億円の最終赤字となり、2年連続で巨額の赤字を計上しています。
23日、大阪市内で開かれた株主総会で、長谷川一明 社長は「経営環境は依然として厳しいが安全安心を基盤に収益・コストの双方で構造改革に取り組み、業績の回復を図っていく」と述べ、今年度の決算で黒字転換を目指す決意を示しました。
また、会社では、特に利用客が少なくなっている地方路線について、「地域のニーズに適した交通体系を地域と作り上げたい」と説明し、沿線自治体などと路線のあり方について議論を進める考えを示しました。
これに対して、株主からは「地方路線の利用促進のために特急列車を増便するべきだ」とか、「豪雨や地震などの自然災害が増える中で、対策を強化すべきだ」といった意見が出されました。
株主の60代男性は「会社は赤字から回復しているとは思うが、まだまだ多くの課題を抱えている。赤字路線をどう生かしていくのかを具体的に示すべきだし、収入を上げられるように計画していくべきだ」と話していました。

【フジテック 社長再任案撤回】。
滋賀県彦根市に本社があるエレベーターメーカーの「フジテック」は、23日の株主総会を前に、内山高一 社長の再任案を撤回し、内山氏は、社長も退任することになりました。
フジテックの大株主で、香港に拠点を置く投資ファンドは、会社が内山氏ら創業家に便宜供与を図っているなどとして、内山社長の再任に反対するようほかの株主に呼びかけていました。
エレベーターメーカーの「フジテック」は、23日午前、株主総会に提出していた内山高一 社長の再任案を撤回したことを明らかにしました。
会社側が、株主総会の直前に現職社長の取締役再任の提案を撤回するのは異例で、内山氏は社長も退任することになりました。
フジテックをめぐっては、香港に拠点を置き、フジテックの株式のおよそ9%を保有しているとみられる投資ファンドの「オアシス・マネジメント」が、「会社が、創業家である内山家の私的利用のために東京・港区の高級マンションを購入した疑惑に加え、内山社長が保有する別の会社との間に不透明な取り引きがある」などと批判し、内山社長の取締役再任に反対するようほかの株主に呼びかけていました。
フジテックは、先月(5月)、いったんは「問題ない」としていましたが、今月17日、第三者委員会で追加の調査を行うことを決めています。
会社では、第三者委員会の調査結果が出て問題がないと判明すれば、改めて株主に、取締役の就任の是非を問うとしています。

【ファンドが会社を批判】。
エレベーターメーカーのフジテックが23日開かれた株主総会の前に内山高一 社長の取締役の再任案を撤回したことを受けて、再任に反対していた香港に拠点を置く投資ファンドの責任者がオンラインで会見を開きました。
この中で「オアシス・マネジメント」のセス・フィッシャー 最高投資責任者は、再任案の撤回について「株主が自らの代理人を選ぶ権利を奪うことになる。株主への説明責任から逃れようとする行為だ」と批判しました。
また、会社側が第三者委員会を設け、問題となっている取り引きを改めて調査するとしていることについては、「内山氏を取締役として再任することに触れていることからもいかに独立性を欠いた調査かが分かると思う」と指摘しました。
そのうえで今後の対応について「株主として法的に認められたあらゆる権利を行使して対話していきたい」と述べ、引き続き企業統治のあり方をめぐって会社に改善を求めていく考えを示しました。

【フジテック対オアシス経緯】。
香港に拠点を置く投資ファンドの「オアシス・マネジメント」が先月(5月)下旬に関東財務局に提出した報告書によりますと、「オアシス」は、「フジテック」の株式の9.73%を保有する大株主となっています。
オアシスは、「フジテックと、創業家である内山家が保有する企業との間で多くの疑わしい取り引きがある」などと指摘してきました。
この中では、▼フジテックが取得した東京・港区の高級マンションが創業家の私的利用のために使われているとか、▼フジテックが、内山高一 社長が保有する別の企業に現金を貸し付けているといった疑惑を指摘し、内山社長の取締役再任に反対するようほかの株主に呼びかけていました。
これに対して、フジテックは先月末に臨時の取締役会を開き、外部の弁護士による調査などの結果、一連の行為が法的にも、企業統治上も問題ないという結論を確認していました。
ただ、株主などからの指摘を踏まえて、今月(6月)17日には再び臨時の取締役会を開き、第三者委員会を設置して追加の調査や検証を行うことを決議していました。

【専門家“幅広く意見聞くべき”】。
大和総研 政策調査部の鈴木裕 主席研究員は、「時代が変わって資本に国境がなくなっているので、外国人投資家の比率が高まり、「物言う株主」が多くなっている。これに加えて、機関投資家からも提案が出るようになっている」と分析しています。
そのうえで、企業側の対応については、「『物言う株主』からの提案が出たとしても、実際には、そのほとんどは否決されることが多い。ただ、そうした提案に触れる中で会社側と違う意見を把握するのも企業経営には必要だ」として、「物言う株主」からも含めて幅広く株主からの意見に耳を傾けるべきだという考えを示しました。