宇治ウトロ地区放火事件裁判 検察が懲役4年求刑

去年8月、在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区で住宅など7棟を全半焼させたとして放火などの罪に問われている被告の裁判が開かれ、検察は懲役4年を求刑しました。

奈良県桜井市の無職、有本匠吾被告(22)は、去年8月、在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区の倉庫に火をつけて住宅などあわせて7棟を全半焼させたなどとして、放火などの罪に問われています。
この火事では、地域の歴史を伝えるためにウトロ地区に新たに建設された平和祈念館に展示予定の資料の一部も焼失しました。
これまでの裁判で、被告は事件の動機について、「韓国人に敵対感情があった。展示品を使えなくすることで、平和祈念館の開館を阻止するねらいもあった」と述べていました。
21日の裁判で検察側は「被告は職を失ったことなどによりうっ屈し、憂さを晴らすため、韓国人に対して一方的に抱いていた嫌悪感から犯行を行うことにした。動機は身勝手極まりなく、犯行は危険で悪質だ」と指摘しました。
そのうえで「一方的な思い込みによる在日韓国人、あるいはその関連施設を対象とした犯行が社会から容認されることなどない」と述べ、懲役4年を求刑しました。
これに対し弁護側は「被告は家庭でも社会でも孤立しがちで、援助もなかった」などと述べ、こうした点を考慮した判決を求めました。
裁判は、21日ですべての審理を終え、判決は8月30日に言い渡されます。

【住民側は】。
裁判のあと、ウトロ地区の住民側が弁護団とともに記者会見を開きました。
この中で、裁判で意見陳述を行った、「ウトロ平和祈念館」の金秀煥 副館長は、「差別や偏見はこの社会では許されないと位置づけることこそが、住民たちがこの事件を乗り越えられる大事なポイントだと思っている。私たちの思いを裁判所に伝えるだけではなく、社会がこの問題に向き合ってほしいという思いもある。被害者の思いが裁判所にどのように伝わったのか、判決を待ちたい」と話していました。
また、ウトロ平和祈念館を運営している「ウトロ民間基金財団」の郭辰雄 理事長は、「きょうの公判は、今回の犯罪がどれだけ多くの人を傷つけたのかということも明らかにした。8月に判決が出るが、その後、どう対応していくのかが重要で、ヘイトクライムが起きない社会をつくるために、さまざまな人とつながっていきたい」と話していました。