3年ぶりに再開 小中学校の水泳授業 民間施設の活用も

神戸市の公立の小中学校では、新型コロナの影響で中止されていた水泳の授業が3年ぶりに再開されました。
市内の小学校では、子どもたちが水の感触を確かめながら楽しんで学んでいました。

神戸市の公立のすべての小中学校は、新型コロナの感染拡大でおととしと去年、水泳の授業を取りやめましたが、ことしは感染対策を徹底したうえで再開しています。
神戸市灘区にある成徳小学校では、3年ぶりに16日から水泳の授業が行われ、このうち6時間目には小学5年生の半数にあたるおよそ70人の児童が参加しました。
子どもたちはマスクを外して声を出さないよう気をつけながら、4つのグループに分かれてプールの中に入り、さっそく浮いたり短い距離を泳いだりして、水の感覚を確かめていました。
感染対策として、▼着替えは教室だけでなく家庭科室なども利用して分散して行うほか、▼プールサイドには1メートル間隔で印を付け児童どうしが距離を取るようにしていました。
男子児童の1人は「声を出せないのは残念ですが、長い間、水泳の授業がなかったのでとても楽しかったです」と話していました。
赤木裕之校長は「感染対策はもちろんですが、久しぶりの水泳なので水に慣れてもらうことに重点を置いて取り組んでいます。楽しそうな顔を見ることができて良かったです」と話していました。

【枚方 民間のプール利用】。
各地の小中学校で、新型コロナウイルスの影響で取りやめていた水泳の授業を3年ぶりに再開する動きが広がる中、大阪・枚方市では民間のプールを利用して水泳の授業を行う、新しい取り組みがはじまっています。
ことしは、「新型コロナウイルスの感染状況が比較的、落ち着いている」などとして、各地の小中学校で、取りやめていた水泳の授業を再開する動きが出てきています。
このうち、大阪・枚方市も、3年ぶりに水泳の授業を再開することを決め、先月(5月)下旬から順次、各学校で授業がはじまっています。
枚方市では今年度から授業で民間のプールを活用する取り組みを始め、14日は、市内の殿山第二小学校の5年生の児童たちおよそ60人が、近くのスポーツクラブを訪れました。
授業では、感染対策として、▼レーンを一方通行にし、近距離ですれ違わないようにしたり、▼水泳を指導するスタッフがフェースガードをつけたりしています。
また、この2年間、泳ぎ方を教わっていない児童もいることから泳ぐ能力ごとに複数のグループに分け、それぞれにスイミングスクールのスタッフをつけることで効率的に教えることができるようにしています。
市はこうした工夫で、児童の泳ぐ能力を伸ばしていきたいとしています。
また、民間のプールを利用することで、▼維持管理などの費用を1校あたり年間200万円ほど削減できるほか、▼天候に左右されずに授業を進めることができるようになるなどのメリットがあるということです。
授業を受けた女子児童は、「久しぶりなので泳ぎ方を忘れているところもあったけど優しく教えてもらえてよかった」と話していました。
殿山第二小学校の山本容子 校長は、「子どもたちが楽しんでいて学校としてもうれしかった。コロナ禍で運動する機会も減っていると思うので、プールのスタッフとも相談してよりよい授業を作っていきたい」と話していました。

【水泳授業再開で水着需要急増】。
新型コロナの影響で中止されていた小中学校の水泳の授業がこの夏、3年ぶりに再開される動きが広がっていることを受けて、奈良県の水着メーカーでは、学校指定のスクール水着の注文が急増し、対応に追われています。
奈良県御所市にある昭和13年創業の「南和繊維工業」は、全国の小中学校向けにこれまで年間およそ10万着の水着を製造・販売してきました。
新型コロナの感染拡大で水泳の授業が中止され、このところは注文が激減していましたが、この夏、3年ぶりに全国的に再開される動きが広がっていることを受けて水着の注文が全国から相次ぎ、対応に追われています。
会社によりますと、▼入学以来初めて水泳の授業に臨む小学校低学年や中学生からの注文が増えているほか、▼水着のサイズが小さくなってしまった小学校高学年の買い替えも重なり、ことしは例年の2.5倍ほどの注文が入っているということです。
この会社では、ことしの注文の増加を見込んで生地の仕入れを増やし、予定を前倒しして生産を続けてきましたが、今月に入っても注文が殺到し、一部の学校には納品が間に合っていないということです。
会社の営業部の西河剛史さんは、「コロナ禍の反動が大きく、想定を超える注文が入っています。一日も早く商品を納められるよう生産に努めていきたい」と話していました。

【最近のスクール水着】。
スクール水着といえば、かつては男子が上半身裸のトランクス型、女子はワンピース型などが定番でしたが、最近は、これまでとは異なるタイプの水着が人気を集めています。
その1つが、男女とも上下2枚に分かれた「セパレート型」と呼ばれる水着で、上は半袖や長袖、下はハーフパンツやハーフパンツにスカートが付いたスタイルです。
肌の露出が従来のタイプよりも少なく、紫外線をカットする素材でできていて、夏の強い日ざしから肌を守ることができるということです。
また、上下の組み合わせを変えれば性別を問わず着られることも人気の理由だということです。
スクール水着を製造している南和繊維工業によりますと、今では自社で生産している商品のおよそ7割が、こうした新しいタイプの水着だということです。
営業部の西河剛史さんは、「紫外線対策のため、肌の露出が少ない商品の人気が高く、急速な勢いで浸透しています。品質を第一としつつも、着用したいと思っていただける商品を作っていきたい」と話していました。

【スクール水着の変遷】。
東京・墨田区の水泳用品メーカー、「フットマーク」は、ことしから男女が同じデザインの「ジェンダーレス水着」の販売を始めました。
この「ジェンダーレス水着」は、上下が分かれたデザインで、上は長袖、下はハーフパンツと露出を少なくし、体の成長による違いがあらわれる胸や腰、それにお尻などの部分はゆったりしたシルエットになるよう工夫しています。
メーカーによりますと、最近は学校現場で制服をスカートだけでなくパンツも選べるようにするなど性的マイノリティーの子どもにも配慮した取り組みが進み、水着も性別による選びにくさを減らし選択肢を増やそうと開発したということで、今年度は3つの学校で導入される予定です。
スクール水着は時代の変化とともにその形を変えています。
▼1970年代ごろは、男子は「競泳型」、女性はワンピース型」とよばれる太ももが露出するデザインでした。
▼2000年代ごろからは、男子は「トランクス型」、女子は「オールインワン型」とよばれる太ももの一部を覆うようなデザインが登場、▼2010年代ごろからは、男子のトランクスの丈はさらに長く、女子は上下に分かれた「セパレート型」が主流になり、紫外線対策として長袖の上着を羽織る子どもも増えているということです。
メーカーによりますと、学校指定の水着をやめて紺色であれば指定はないという学校も多くあり、水着の選択肢は増えているということです。
メーカーの担当者は「性的マイノリティーの子どもさんだけでなく、体形や体毛、アトピーなどさまざまな事情で肌の露出を控えたいという声があります。こうした水着を着ることで水着に対する不安を払拭(ふっしょく)し、水泳授業に前向きに取り組んでもらえたら」と話していました。

【専門家“コロナ禍踏まえ指導に工夫を”】。
水泳教育に詳しい鳴門教育大学の松井敦典 教授は、コロナ禍の子どもたちの水泳授業について、「水泳の授業は3年ぶりになるので、その間、学習が滞っていることになる。しかし、急いで遅れを取り戻すのではなく、2年間できなかったことを前提とした指導を各学校で工夫しなければならない」と指摘しています。
そして、「学校での水泳授業は何メートルを何秒で泳げたというような、タイムやパフォーマンスを争うものではなく、まず、水に親しむ態度を養うことが大事だ。そして、水辺で溺れず、自分を安全に保つための能力を獲得するのが大きな目的だ。水に近づかないと実際の水の怖さやどう対処したらいいかの学習もできない。水に入ることに慣れ、水の中での作法を知ることが大事ではないか」としています。
そのうえで、「コロナ禍でプールに入る時間を確保できなかったのなら、プール以外の場所で、水の危険性や泳ぐための理論などを学ぶといった、水泳学習を補う工夫が必要だと思う」として、従来どおりのやり方で進めるのではなく、コロナ禍の状況を踏まえた水泳学習のあり方を検討する必要があると指摘しています。
また、民間に委託する動きが広がりつつあることについては、「学校がプールを管理する手間暇がなくなるし、水道代もいらなくなるなどメリットはある。しかし、泳ぐ距離や速さを鍛える民間のスイミングスクールと学校は役割が異なるので、委託するにしても丸投げするのではなく、体育としての学習内容は学校主体で行ってほしい」と話しています。