大阪教育大学附属池田小学校事件21年 児童8人追悼の集い
大阪・池田市の大阪教育大学附属池田小学校で8人の児童が殺害された事件から6月8日で21年となり、学校で追悼の集いが開かれました。
平成13年6月8日、大阪教育大学附属池田小学校に宅間守 元死刑囚が侵入し、児童8人が殺害され、児童13人と教員2人がけがをしました。
事件から21年となる8日、遺族と児童、教職員などあわせておよそ770人が参加して追悼の集いが開かれ、亡くなった8人の名前が刻まれた塔の鐘が鳴らされて、全員で黙とうをささげました。
そして、当時6年生の担任だった眞田巧 校長が、ウクライナで学校が被害を受けたり、アメリカの学校で銃の乱射事件が起きたりしていることに触れたうえで、「日本中の学校と世界中の学校と手をたずさえ、学校が安全で安心して学べる場所であるようにこれからも努力を続けます」と話しました。
このあと、児童代表の6年生が「もう取り戻すことができない8人の大切な思いを決して忘れることなく、未来へ語り継いでいくことが私たちの役割であると思います」と誓いのことばを述べました。
附属池田小学校では、事件のあと、教職員が不審者への対応訓練を定期的に行っているほか、「安全科」という授業を設けて子どもたちの命を守るための教育を続けています。
【校長“人を守る側に”】。
追悼の集いのあと、当時6年生の担任だった眞田巧 校長は取材に応じ、「事件から21年という時間は、長いと思うときも短いと思うときもありましたが、いろいろな方に支えていただいて今があるのだという思いを新たにしました」と話しました。
そのうえで、「国内外で子どもが犠牲となる事件が起きるたびに、学校を預かる立場として『なぜこんなことが起きるのだ』と感じます。日々の教育活動の中で、子どもたちに人を傷つける側ではなく、守る側になってほしいという思いを伝えるとともに、それぞれの教員が教訓を語り継いでいきたいと思っています」と話していました。
【献花台訪れた人は】。
追悼の集いが行われた学校の前には献花台が設けられ、訪れた人たちが静かに手を合わせていました。
事件当時、娘が附属池田小学校に通い、亡くなった児童と同学年だったという63歳の男性は、「毎年、献花に来ていて、自分が生きている間はずっと訪れようと思っています。亡くなった児童たちにどれだけ豊かな未来があったかと思うと胸が痛いです」と話していました。
小学校の卒業生で、16歳の男子高校生は、「在学中も毎年祈りをささげ、卒業してからも毎年、訪れています。こういった事件は起きてほしくないですし、全ての学校が安全であってほしいです」と話していました。
献花に訪れた池田市の70代の女性は、「事件のことを思い出すとつらいです。当時は怖くて近くに来ることができませんでしたが、祈りを届けられたらと思い、数年前から手を合わせに来ています。亡くなった児童たちは、いまごろ、立派な大人になっていたはずで未来が絶たれたと思うと胸が苦しいです」と話していました。
【遺族“記憶が風化防ぎ 支えに”】。
当時、小学2年生だった長女の優希さんを亡くした本郷由美子さんは、NHKにコメントを寄せました。
本郷さんは、「その日が来るとすごく悲しいけれど、悲しみの深さはいとしさの深さの表れだと思っています。これだけ娘のことを深く愛していたんだなと思い返せる時間でもあるので、そのいとしさを抱きしめたいと思っています」としています。
本郷さんは事件のあと心のケアについて学び、事件や災害で家族を失った人や病気に悩む人たちを支える活動を続けていて、「人の命を支える自分の役目がどれだけできたのか、これからまた1年間どういうことをしていこうか、娘や亡くなった子どもたちに報告したいです」としています。
そのうえで、「いろいろな事件・事故の遺族や関係者が、二度と起きないようにという思いで再発防止に努めています。池田小学校の事件だけでなく、こういうことがあったということを記憶にとどめたり、心に刻んだりしてもらうことが風化を防ぎ、私たちの支えになっています」としています。