たまねぎの価格高騰 影響と今後の見通しは

価格が高騰しているたまねぎ。
影響と今後の見通しを取材しました。

【洋食店は苦慮】。
たまねぎの高騰は飲食店にも影響を与えています。
大阪・池田市にある洋食店では、淡路島産のたまねぎをふんだんに使ったハンバーグが人気を集めています。
この店では、大きいサイズを中心に、ひとつきに100キロ余りのたまねぎを使っていますが、ここ2か月程度で仕入れ価格が1.5倍に値上がりしているということです。
また、大きいサイズのたまねぎを確保することが難しくなっていることから、小さなサイズのたまねぎも購入して急場をしのぐときもあるということです。
店では、客に満足してもらうため、たまねぎの量を減らさず、価格も維持していますが、経営への影響は少なくないといいます。
「ハンバーグGOSOU」の店主の山下忠士さんは、「うちの店ではハンバーグに使うたまねぎが多いので、量を減らしてしまうと味が変わるため、そのままの量で提供しています。たまねぎの価格が早く前の水準に戻ってほしい」と話していました。

【全国有数の産地 南あわじの生産者は】。
たまねぎの価格の高騰を受け、全国有数の産地、兵庫県南あわじ市の生産者は、「北海道頼みにならず、淡路島の出荷量を増やすためにも経営が安定する価格が維持できるようになってほしい」と話しています。
兵庫県は、たまねぎの出荷量が全国3位で、そのほとんどを淡路島が占めていて、これから収穫の最盛期を迎えます。
このうち、南あわじ市神代でたまねぎを生産する会社は、9ヘクタールの敷地でたまねぎを栽培しています。
生産したたまねぎの多くは、独自のブランドとして関西のデパートや飲食店などに一定の価格で直接、販売しています。
会社によりますと、去年12月からことし2月にかけて雨が少なく気温も低かったことから、例年より1か月ほど成長が遅れたものの、質のよいたまねぎに成長したということです。
この会社には新たに取り引きしたいという問い合わせが相次いでいるということですが、全国的にたまねぎの供給が少なくなる中、既存の取引先への出荷に追われ、対応は難しいとしています。
一方、価格については、肥料やガソリンといった経費が値上がりし、経営環境が厳しくなっていることから、維持できるかどうか懸念しています。
会社の代表取締役を務める迫田瞬さんは、「値段が上下せず食べていただきたいという思いから、ブランド戦略をとったが、もろもろが値上がりする中で、値段を上げずに済むかという課題がある。北海道頼みにならず、淡路島でもっと出荷量を増やすためにも経営が安定する価格が維持できるようになればというのが農家の願いだ。農家も食卓にいいものをお届けできるように努力するので、いっぱい食べてもらいたい」と話していました。

【高騰の背景は】。
農林水産省によりますと、たまねぎの卸売価格は、年明け以降、上昇が進み、先月(4月)下旬には1キログラムあたり347円になりました。
これは、去年の同じ時期の4.3倍になります。
今月(5月)上旬の時点でも、1キログラムあたり240円で、去年の2.7倍となるなど、高値水準が続いています。
たまねぎが高騰している背景には、全国の出荷量のおよそ7割を占める北海道での不作があります。
例年では、北海道産のたまねぎは収穫したものを貯蔵しながら出荷するため、8月、9月ごろからよくとしの春ごろまで出回ります。
春先からは北海道産と入れ代わる形で、第2位の出荷量を誇る佐賀県や3位の兵庫県などのたまねぎが徐々に出回るようになります。
しかし、去年夏の雨不足の影響で北海道では収穫量が減少しました。
それに加えて、佐賀県では春先の気温の低下などで生育が遅れ、全国的にたまねぎが不足する事態となりました。
農林水産省によりますと、足もとでは佐賀県産のたまねぎの出荷量が例年並みに徐々に戻ってきたことに加えて、兵庫県産も出荷が始まっていることから、今後、価格は徐々に落ち着いていくとみられます。