「国際ロマンス詐欺」で150万円詐取疑い 日本人を国際手配

外国人などを名乗り、アプリで知り合った相手に恋愛感情を抱かせて現金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」と呼ばれる手口で、京都の男性ら2人から現金あわせておよそ150万円をだまし取ったとして大阪府警はガーナにいるとみられる日本人の逮捕状をとり、国際手配しました。

国際手配されたのは、住居・職業ともに不詳の森川光容疑者(58)です。
警察によりますと、ほかの容疑者とともに、京都府に住む当時55歳の男性と、長野県に住む当時63歳の男性の2人から、あわせておよそ150万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
容疑者らのグループは、マッチングアプリで海外にいる日本人の女性医師やアメリカ人のライターを名乗り、男性らに恋愛感情を抱かせたうえで生活費などを要求していたとみられるということです。
森川容疑者は現在、ガーナにいるとみられ、日本国内にいるグループのメンバーに事件を指示した疑いがあり、逮捕状をとって国際手配しました。
この事件では国内にいる15人も検挙され、森川容疑者に送金していたとみられるということで、警察がグループの口座を調べたところ被害者とみられる男女65人から3億9000万円の入金の記録があったということです。

【メッセージのやりとり】。
今回の国際ロマンス詐欺事件で、被害者と外国人を名乗る人物との間でメッセージアプリで交わされた実際のやりとりです。
このうち、被害に遭った男性が、在日米軍基地で働く女性看護師を名乗る人物とやりとりしたものでは、互いが結婚相手を探していることを確認しています。
その直後、女性看護師を名乗る人物は、「私と結婚するつもりですか」、「どれくらい真剣か」、「あなたしかいない」などと、メッセージを送っています。
また、被害者の女性が、日本に住むアメリカ国籍の国際弁護士を名乗る人物とやりとりしたものでは、「ヘッドハンティングされてニューヨークから来日した。世界中のクライアントと会って大きな取り引きをする」などと送っています。
大阪府警によりますと、今回の事件では容疑者側が被害者に対し、▼どれだけ真剣に結婚を考えているのかを探ったり、▼自分の仕事が魅力的だとアピールしたりしているのが特徴だということです。

【「ロマンス投資詐欺」が急増】。
国民生活センターによりますと、出会い系サイトやマッチングアプリで知り合い、恋愛感情を抱いた相手から海外のサイトを紹介されて、投資したものの出金できなくなったといった、トラブルの相談が急増しているということです。
相手が外国人を名乗っているケースが目立つということで、こうした「ロマンス投資詐欺」の相談は、▼2019年度は全国で5件でしたが、▼2020年度は84件、▼昨年度(2021年度)は192件と、この3年間で40倍近くになっています。
昨年度の▼相談者の年代別では男女ともに30代と40代が多くを占め、女性は8割余り、男性は7割近くでした。
▼決済の方法別では暗号資産が最も多く、次いで銀行振込となっています。
また、相談者は女性が増えていて、▼2020年度は男性が7割、女性が3割だったのに対し、▼昨年度は男性がおよそ6割、女性がおよそ4割だったということです。
国民生活センターは、こうしたトラブルでは相手の実態がつかめず被害の回復は難しいとしていて、やりとりするなかで不審な点があった場合は、すぐに相談するよう呼びかけています。
消費者ホットラインの番号、「188」に電話をすれば地域の消費生活センターなどの案内を受けられるということです。

【被害急増の背景や注意点】。
多くの被害者からの相談に応じている正木健司 弁護士に被害が急増している背景や注意点について聞きました。
正木弁護士は「コロナ禍で実際に人と会う機会が減っている中で、マッチングアプリなどを通じて出会いを求める人が増えているほか、なんとか収入を増やしたいと投資に目を向ける人も増えている」と指摘しています。
そのうえで、「実際に会ったことや電話で話したこともない相手への多額の送金には慎重になってほしい。事前に投資の話を持ちかけられるのは詐欺の疑いがある。1人で判断せずに消費生活センターや身近な家族に相談することが重要だ」と呼びかけています。