金魚電話ボックス 訴え退ける

奈良県大和郡山市の商店街に設置されていた水槽のようにした電話ボックスに金魚を泳がせるオブジェについて福島県の美術家が、自分の作品をまねたもので著作権を侵害されたと訴えていた裁判で、奈良地方裁判所は「同一性は認められない」などとして訴えを退けました。

「金魚のまち」として知られる大和郡山市の柳町商店街には電話ボックスに水を満たし、水槽のようにして金魚を泳がせているオブジェがあり、町の名所となっていました。
これについて福島県いわき市の美術家、山本伸樹さんが自分の20年前の作品をまねたもので著作権を侵害されたと主張して商店街の組合などに対し、330万円の損害賠償などを求めていました。
11日の判決で、奈良地方裁判所の島岡大雄裁判長は、電話ボックスの中に金魚が泳ぐという発想について「アイデアにほかならず、表現ではないため、著作権法上の保護の対象にならない」と指摘したうえで、「電話ボックスやその内部に設置された電話の色や形状などが異なっていて同一性を認めることはできない」などと判断して原告の訴えを退けました。
判決のあと、山本さんは会見を開き、「私の望んでいた判決とは違ったもので非常に落胆しています。これをきっかけに、日本の著作権法と表現の現場の現状が明らかにかい離しているということが社会に伝わってほしい」と話し控訴する方針を示しました。
原告の代理人は「山本さんの作品を1つの表現として捉えないと現代アートの著作物性が非常に限られたものになってしまい、芸術家が法的な保護を受ける範囲が極めて狭くなってしまう問題がある」と話していました。
被告の代理人は「著作権法の本質を踏まえた奥の深い、妥当な判決だったと思う」とコメントしました。
また、代理人によると電話ボックスの再設置については現時点では白紙だということです。