大規模買収事件 渡辺県議は2審も有罪

5年前の参議院選挙をめぐり、河井克行元法務大臣から現金を受け取ったとして公職選挙法違反の罪に問われた広島県議会の渡辺典子議員に、2審の広島高等裁判所は1審に続いて罰金の有罪判決を言い渡しました。
この判決が確定した場合、渡辺県議は失職します。
広島県議会議員の渡辺典子被告は、河井元大臣から、妻の案里氏を当選させるための選挙運動への報酬と知りながら、現金10万円を受け取ったとして公職選挙法違反の罪に問われました。
渡辺県議は、「受け取った現金は政治団体間の寄付で、買収の目的は含まれていない」と無罪を主張していましたが、1審の広島地方裁判所が去年7月に罰金の有罪判決を言い渡したことを受けて控訴していました。
18日の2審の判決で、広島高等裁判所の森浩史裁判長は、「元大臣は、支援者に面会して案里氏のポスターを貼ることなどを依頼した直後に県議に現金を渡している。このような時期や状況で渡された現金が、選挙支援と全く関係ないものだったというのはおよそ不自然だ」と指摘しました。
そのうえで、「現金が例年受け取っている寄付金と同額だとしても、渡す時期や経緯によっては特定の選挙での支援を求める趣旨を含むものとして具現化するとみることができ、県議もそれを認識していたとうかがい知ることができるというべきだ」として、罰金10万円と追徴金10万円を言い渡しました。
この判決が確定した場合、公民権が5年間停止され、渡辺県議は失職します。
判決を受けて、渡辺典子県議会議員が会見を開き、「到底納得できるものではなく、速やかに上告する予定だ。これからも県議としての仕事を全うしながら、裁判で無罪を勝ち取っていきたい」と述べました。

この事件をめぐっては、公職選挙法違反の罪に問われて正式な裁判で争っていた12人について、1審の広島地方裁判所はいずれも有罪の判決を言い渡し、10人が控訴しました。
2審の広島高等裁判所では、これまでに控訴した10人のうち、18日の渡辺県議会議員を含め5人に判決が言い渡されましたが、いずれも1審と同じ有罪でした。
現職の議員の有罪が確定した場合は失職することになっていて、これまでに安芸太田町の町議会議員が失職したほか、18日までに広島市議会の石橋議員の上告が最高裁判所で退けられ、有罪判決が確定したら失職することになります。